# エンジニア初心者も理解できる！ER図の書き方を図を用いて解説

この記事では、データベース設計に欠かせないER図の書き方を解説します。また、書き方に入る前の知識として、ER図の記法や要素、記号についても解説したので初心者の方でもしっかりと基本が理解できる内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。

# そもそも「ER図」とは？

ER図とは「Entity Relationship Diagram」の略で、データベース設計での設計図のことです。「Entity（エンティティ） = モノ」の「Realationship（リレーション） = 関係」を表した図のことを指します。

# ER図の記法

ER図の記法にはいくつかの種類があり、現在主流となっているのが「IE記法」と「IDEF1X記法」の2つです。この2つの記法の違いはリレーションの書き方だけ。表現していることは同じです。
早速見てみましょう。

## IE記法
別名「鳥の足記法（Crow's Foot Notation）」。鳥の足のように3本に分かれた記号を用いるため、そのような名前がつけられています。その他にも円や線を用いているのが特徴です。

## IDEF1X記法
黒い円や添字を使用して記載するのが「IDEF1X記法」。

!["IE記法とIDEF1X記法の違い"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E8%A8%98%E6%B3%95%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84.png "IE記法とIDEF1X記法の違い")

# ER図書き方の前に！最低限おさえておきたい用語解説
用語は分かれていますが、感覚的に理解し易いので「こういう違いがあるんだ！」と、全体像を頭の中で理解できれば問題ありません！
ECサイトのシステムを想定して解説していきます。

## 概念モデル
手順にも出てきますが、まず最初にシステム全体の「モノ」や「コト」を「エンティティ」と「リレーションシップ」として洗い出し、概要を表します。この2つを「概念モデル」と言います。

## エンティティ（概念モデル）
この箱、きっと見たことがあると思います。この箱を「エンティティ」と呼びます。エンティティの中にも役割が異なるものを以下のように呼ぶこともあります。

!["エンティティ"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3.png "エンティティ")

### リソース（マスタ系）エンティティ
マスターテーブルとして管理されるようなデータです。システム上では、基本的に参照（SELECT）される事が多く、更新（INSERT/UPDATE）される事が少ない場合が多いです。 
例）社員、顧客、店舗、商品

### イベントエンティティ
動詞の名前が多くつけられます。ここでは例示したほうがわかりやすいと思います。例えば、顧客が商品を注文する場合、「顧客」「商品」というマスタ系のエンティティ同士を結びつける「注文」がイベント系エンティティとなります。
例）その他にも受注、注文、出荷、売上、請求、入金こういったイベントがこのエンティティとなります。

### サマリーエンティティ
リソース（マスタ系）とイベント系エンティティの集計結果のエンティティです。バッチ処理などで計算させてデータを格納することも多いです。
例）商品の売上集計、カテゴリー別の売上集計など

### エンティティの書き方

独立エンティティ（他のテ���ブルのデータに依存することなくデータを保持できるエンティティ）を角の尖った四角で示し、従属エンティティ（他のテーブルが存在しないとデータを保持することができないエンティティ）を角の丸い四角で示すことがありますが、区別しないことも多いです。

## リレーション（概念モデル）
主語となるエンティティを「親エンティティ」、目的語となるエンティティを「子エンティティ」と呼びます。 
例） **顧客が** **商品を** 注文する
リレーションは1本の線で関係の有無だけを表し、「主語」から「目的語」に向かって線を引きます。

### 依存リレーションシップ
お互いのエンティティが存在しないとシステムとして成り立たない関係を言います。この関係は「実線」で結びます 
例）注文マスタと注文詳細どちらかが欠けるとシステムとして成り立たない


### 非依存リレーションシップ
逆にエンティティ同士が独立していても成り立つ関係は「点線」で結びます。

!["リレーションの違い"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84.png "リレーションの違い")

## 論理モデル
論理モデルは「アトリビュート」と「カーディナリティ・オプショナリティ」のことを指します。以下で解説していきます。

### アトリビュート（論理モデル）
下の図をご覧ください。アトリビュートとは「エンティティ内の各属性（項目）」のことを指します。 
例）顧客マスターの場合、氏名や住所などに相当します。
!["アトリビュート"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%92%E3%82%99%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88.png "アトリビュート")

### カーディナリティ・オプショナリティ（論理モデル）
これらはリレーションシップを表す時に追加する記号です。これから各用語の説明もしていきますが、下の図をみていただければ一目瞭然です。

**カーディナリティ**
多重度とも言います。エンティティから近い方に記載します。関連するインスタンスの最大値を表します。

**オプショナリティ**
エンティティから遠い方に記載します。関連づくインスタンスの最小値を表します。「1」を「mandatory(必須)」、「0」を「optional（任意）」と呼びます。

!["多重度（カーディナリティ）"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E5%A4%9A%E9%87%8D%E5%BA%A6.png "多重度（カーディナリティ）")

# ER図の書き方手順5ステップ
前段が長くなりましたが、上記の理解があれば問題なくER図の作成ができるようになります。

## 1.要件定義でのユースケースを準備する

具体的に「誰が何をどうするのか（ユースケース）」がわからないと、どのデータベースを用いて、データをどのように関連付けるのかわかりません。そのために、要件定義でのユースケースを洗い出しを一番最初に行う必要があります。 
例）顧客が商品を注文する、顧客が商品をお気に入りリストに追加するなど
要件定義について詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。
[要件定義に関する記事はこちら{: .btn .btn--primary}](/ja/blogs/27)

## 2. エンティティを洗い出す
手順1. で準備したユースケースを用いて、必要なエンティティを洗い出します。その際、リソースエンティティとイベント系エンティティを分けておくと後々可動性も上がりますので、おすすめです。 
例）顧客（マスタ）、商品（マスタ）、注文、配送方法（マスタ）、在庫、決済方法（マスタ）
!["手順2. エンティティを洗い出す"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E6%89%8B%E9%A0%862.png "手順2. エンティティを洗い出す")

## 3. アトリビュートを洗い出す
各エンティティの項目を洗い出します。
!["手順3. アトリビュートを洗い出す"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E6%89%8B%E9%A0%863.png "手順3. アトリビュートを洗い出す")

## 4. エンティティ同士をつなげる
エンティティ同士をリレーションとカーディナリティなどの記号を用いてつなげます。
!["手順4. エンティティ同士をつなげる"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E6%89%8B%E9%A0%864.png "手順4. エンティティ同士をつなげる")

## 5. 見やすく整頓する
以下の項目をチェックし、作成したER図をより読みやすいものにしていきます。

- 親エンティティは左上にかく
- サブシステムごとにER図を分ける
 - 大規模システム開発の場合、エンティティが多すぎて画面内に収めるのが難しい場合も。無理に一画面におさめてしまうと膨大な量のエンティティを把握しづらくなってしまいます。 !["サブシステムごとにER図を分ける"](https://corpsite-backend-staging-retool.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/%E7%B4%B0%E5%88%86%E5%8C%96.png "サブシステムごとにER図を分ける")
 - そんなときは、サブシステムごとにER図を分けましょう。
- エンティティの種類で色分けする。
 - 手順1. では同時にこの作業をしてます。色分けをすることによって、ER図の各エンティティの役割を直感的に把握しやすくなります。

# ER図作成にはツールを使ってみよう

こちらの記事も併せてご覧ください。
[無料ER図作成ツール5選{: .btn .btn--primary}](https://jitera.com/ja/insights/blogs/30)

# まとめ
DB設計で必要不可欠なER図。基本的な用語や記号、図の種類、書き方の手順や見やすくするためのコツなどを紹介してきました。あとは実際に作図し、経験を積めば初心者から脱出ですね！
最後まで読んでいただき、ありがとうございました！

<a href="https://jp.freepik.com/free-vector/features-overview-concept-illustration_7446773.htm#query=database%20diagram&position=16&from_view=search&track=ais">著作者：storyset</a>／出典：Freepik

この記事では、データベース設計に欠かせないER図の書き方を解説します。また、書き方に入る前の知識として、ER図の記法や要素、記号についても解説したので初心者の方でもしっかりと基本が理解できる内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。

【図あり】エンジニア初心者もこれで理解！ER図の書き方手順