Apacheとは?特徴や導入目的や人気のWEBサーバーとの比較をわかりやすく解説

システム開発において、Webサーバーソフトウェアの選択は、プロジェクトの成否を左右する重要な決断の一つです。

ApacheやNginx、IISといった選択肢の中から、適切なWebサーバーを選択することは、Webサイトの安定稼働、パフォーマンス向上、セキュリティ確保などに大きく影響します。

この記事では、世界中で多くのユーザに使われているApache(アパッチ) Webサーバーについて、初心者にもわかりやすく説明します。Apacheの特徴、メリット、デメリット、他のWebサーバーとの違いを押さえておきましょう。

Apacheは性能面で優れており、オープンソースであるため導入コストが低く抑えられる利点があります。
ただし、設定が複雑でメンテナンスに手間がかかるという、デメリットもあります。NginxやIISとはどのように異なるのか、比較していきましょう。

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監修者 nyann_writer

現役のシステムエンジニアとして10年程度のキャリアがあります。 Webシステム開発を中心に、バックエンドからフロントエンドまで幅広く対応してきました。 最近はAIやノーコードツールも触っています。

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    Apache(アパッチ)とは?

    まずは、Apache(アパッチ)の意味について紹介します。

    Apache(アパッチ)は、イリノイ大学のWebサーバーソフトウェアだったNCSA HTTPdをベースに、1995年に開発が始まった、オープンソースとして無料で使えるWebサーバーソフトウェアです。
    正式名称は「Apache HTTP Server」といい、世界中で広く利用されています。

    無料で利用できることが大きな特徴なので、「費用をかけずにWebサーバを使いたい」という方におすすめです。

    Apacheは、処理性能が高く柔軟なカスタマイズが可能で、小規模なウェブサイトから大規模なウェブサイトまで、現在世界で最も利用されているWebサーバーソフトウェアです。

    Apacheの導入目的

    Apacheは高い処理性能を生かし、大量のアクセスを効率よく処理できます。そのため高負荷対応のWebサイトを、公開したい場合などによく利用されます。

    また最新のWebアプリケーション開発で、主流の各種フレームワークとの親和性が高く、Ruby on RailsやPHPを利用した高機能なブログ・ECサイト・SNSなどの、Webアプリケーションプラットフォームとしての利用価値も高いです。

    拡張モジュールを自由に組み合わせられる柔軟性から、機能拡張性やカスタマイズ性を重視する、「大規模システム基盤」としての利用シーンも多数あります。またオープンソースであることから、初期コストやライセンス料の面でもメリットが大きく、拡張性と経済性の高いWebインフラ構築を実現できるのが強みです。

    Apacheと他のWebサーバーソフトウェアとの比較

    Apacheと同様に広く利用されているWebサーバーソフトウェアに、MicrosoftのIISやNginxなどがあります。

    IISはWindowsサーバー標準のWebサーバーで、Windowsとの親和性が高いのが特徴です。

    Nginxは、静的コンテンツの配信性能に優れ、Apacheよりもリソース消費が少ない軽量なWebサーバーです。

    Apacheは、オープンソースで柔軟なカスタマイズが可能なのに対し、IISやNginxは商用製品のため機能面での制限が大きいといえます。拡張性や経済性を重視する場合はApacheが優位でしょう。

    一方で、Ngnixが持つ高速化技術を取り入れたApacheとの併用構成も多く、用途に応じた最適化が可能です。

    Apache、IIS、Nginxの比較表は以下のとおりです。

    特徴 Apache HTTP Server Microsoft IIS Ngnix
    ライセンス OSS 商用ライセンス OSS
    対応OS クロスプラットフォーム Windowsのみ クロスプラットフォーム
    主な用途 ダイナミックコンテンツの配信、カスタム設定 Windowsベースのアプリケーション 静的コンテンツ配信、リバースプロキシ、ロードバランシング

    Apacheの特徴

    Apache(アパッチ)はオープンソースのWebサーバーソフトウェアとして、長年に渡り、高い人気と信頼を獲得してきました。
    オープンソースという意味では、Apacheは世界中の開発者によって支えられているソフトウェアです。

    また近年ではWebサーバーとしての役割を超えて多様なニーズに応えるための高度な機能を提供しており、世界中の開発者や企業から高い評価を受けています。

    インターネットにおける基盤技術として、Apacheは重要な役割を担っています。
    Webサーバーソフトウェアとしての「意味」だけでなく、Webサイトの構築と運用を支える基盤としての「意味」も持ち合わせていると言えるでしょう。

    ここでは、Apacheの主な特徴をいくつか紹介します。

    オープンソースで自由にカスタマイズ可能

    Apacheはオープンソースのソフトウェアで、ソースコードが公開されているため、自由にカスタマイズできます。このため、用途や要件に合わせて独自の改変を加えることが可能です。

    例えば、Webアプリケーションとの連携機能を追加したり、アクセス制御や認証の仕組みをカスタム実装するといった使い方ができます。

    プラグインやモジュールも自由に開発できるため、ある程度のプログラミング力があれば、機能面での柔軟な拡張が実現可能です。大規模システムを構築する際に、他の製品では実現が難しい個別の最適化を、比較的容易に達成できるのが強みです。

    高い処理性能を実現

    Apacheは並列処理機能を持ち、複数のリクエストを同時に処理できるので、高いパフォーマンスが実現できます。大量のアクセスにも対応可能です。

    具体的には、プリフォークやスレッドベースの並列処理モデルを採用しており、マルチプロセッサーに最適化されています。

    このように、リクエストを効率的に割り当てる、動的なアクセス集中時のための緩和機能も実装されているので、高負荷時でもサービスの可用性を維持できます。また、Apache独自の非同期入出力ライブラリも導入されており、膨大なアクセスに対しても応答性能を維持できる設計になっています。

    実際にAmazonやWikipedia、Facebookなどの大規模サービスが、Apacheを利用することからも、極めて高い拡張性を実現していることが分かります。

    ※プリフォーク・・・プロセスの複製を作って、並列処理を実現する技術です。Apacheは起動時に子プロセスを複数立ち上げて、リクエストを分散させます。

    ※スレッドベース・・・一つのプロセスで複数のスレッドを生成し、それぞれのスレッドで並列処理を実現する仕組みです。最近のApacheではスレッドベースの並列性も活用しています。

    使いやすい管理画面を提供

    ウェブベースの管理画面を提供しており、サーバーの設定や監視がGUIで簡単に行えるのが特徴です。コマンドではなくマウスクリックだけで設定変更できます。

    具体的には、Apacheが起動しているサーバー自身で動作する管理用のWebアプリケーションを含んでおり、一般的なWebブラウザから、直感的な操作感で各種パラメータ変更やログ確認が可能です。

    サービスの開始/停止やバーチャルホストの追加等の日常的な管理作業は、GUI上のボタンクリックだけで実行できるので、Linuxなどのコマンドラインに不慣れなユーザでも、手軽に運用管理が行えます

    他社製品の管理画面と比較しても、直感的で親しみやすいUI/UXを実現しており、使い勝手の良さが高く評価されています

    豊富な拡張機能が存在

    多数の拡張機能(モジュール)が用意されているので、使い方や機能を柔軟に拡張できます。CGI、PHP、データベース連携などに対応したアドオンコンポーネントが豊富です。

    これらのコンポーネントを利用することで、Webアプリケーションフレームワークとの連携や認証・認可・セッション管理・データベース接続といった機能を容易に実現できます。

    拡張コンポーネント自体もモジュラーに開発されているため、不要なものは含めず必要なものだけを選択できる、高いカスタマイズ性も魅力です。
    また、サードパーティの開発者によって多種多様な拡張コンポーネントが公開されており、幅広い用途でApacheを利用することもでき、機能面での制限をほとんど感じることはありません。

    ※アドオンコンポーネント・・・Apacheの標準機能に追加の機能を付与するために、外部から取り付けられるソフトウェア部品やコンポーネントのことを指します。CGIやPHPなどのインターフェースを提供するモジュールが代表例です。

    Apacheのインストールと基本設定

    Apacheを使い始める第一歩として、実際にサーバーにインストールする方法から、基本的な設定項目をひとつずつ見ていきましょう。

    Apacheのインストール方法

    Apacheのインストール方法を紹介します。

    1. まずOS上にインストールする必要があります。yumやaptなどのパッケージマネージャーを使うことで手軽にインストールが可能です。

    ins01

    より、Windows 用のApacheをダウンロードしてインストールします。

    windows版をダウンロードします。

    ins02

    下図ののZIP形式がダウンロードされるので、解凍してインストールします。

    ins03

    2. 次に、httpd.conf等の設定ファイルの編集が必要です。ポート番号やルートディレクトリ、アクセスログの設定などWebサーバーとしての、基本的な動作環境を確定させる項目を設定していきます。

    3.その後、必要に応じて拡張モジュールの導入や、アクセス制御の細かな定義を追加することで、より高度な運用が可能になります。

    代表的なパラメータとしては、仮想ホストのドメインとディレクトリマッピング、クライアントからの接続ポート、ログファイルの出力先、最大クライアント数等があげられます。

    これらの基本設定はGUIベースの管理ツールを使うことで、ウィザード形式で直感的に変更可能です。コマンドラインでの設定変更も可能ですが、サンプルファイルを参考にカスタマイズしていく必要があるでしょう。

    4.その後必要に応じて、拡張モジュールの導入やアクセス制御の細かな定義を追加することで、より高度な運用が可能になります。

    ※ウィザード形式・・・設定対象のパラメータを段階的に選択していくことで、最適値を導き出していく手法です。GUI上で設定項目をステップごとに提示し、直感的で分かりやすい操作を実現します。Apacheにも、基本設定をウィザード形式で受け付ける管理ツールがあります。

    Apacheの基本設定

    Apacheの主要な設定ファイルであるhttpd.confには、サーバーのIPアドレスやポート、ルートディレクトリ、ログファイルなど、動作に必要な基本情報を指定します。

    Listen 80

    ServerName www.example.com

    DocumentRoot “/var/www/html”

    ErrorLog “/var/log/httpd/error_log”

    上記は代表的な設定例です。IPアドレスを指定せずに、デフォルトポートである80番を待ち受け状態にするようにしています。

    httpd.confには、ドメイン名とドキュメントのルートパス、エラーログの出力先も設定します。
    また、実際の運用では、これ以外にも最大接続数の上限や接続存続確認の間隔設定、エラーページのカスタマイズなど、さらに細かな設定が必要になると覚えておきましょう。

    設定値をデフォルトのまま運用していて、思わぬトラブルに遭遇するケースもあるので、システム特性に応じてパラメータチューニングを行うことをおすすめします。

    設定後はApacheサービスを再起動させて変更を反映します。

    Apacheのセキュリティ設定

    ApacheでWebサーバーを公開する場合、セキュリティ面の設定もしっかり行う必要があります。代表的な項目としては、アクセス制御の設定やSSL暗号化の設定等があげられます。

    アクセス制御では、許可/拒否したいクライアントのIPアドレスやユーザーエージェントを指定することで、サーバーやコンテンツへのアクセスを細かくフィルタリングできます。ドメイン名やURLごとにもアクセス権限を分けられるので、重要度に応じてセキュリティレベルを変更できます。

    また、SSL暗号化を有効化することで、クライアントとサーバー間の通信を暗号化し、コンテンツの盗聴や改ざんを防ぐことも可能です。Let’s Encrypt等の認証局から、無償でSSL証明書を取得し、転送時のみならずサーバー上の保管部分もすべて暗号化するといった運用が望ましいでしょう。

    Apacheを導入するメリット

    ここからは、高性能な一方で自由度の高い、Apacheが持つ主なメリットを見ていきましょう。

    Apacheには、コスト面や拡張性など、システム導入を検討する際の決め手となりうる魅力的な特徴が数多くあります。

    メリット 特徴
    オープンソースでコスト効率が良い 利用料・ライセンス費用が不要で、導入コストと運用コストの両面で経済的
    クロスプラットフォーム対応 Linux/Windows/MacOSなど複数OSに対応し、1つのソフトウェアでシステム全体を実現できる
    拡張性とモジュール性が豊富 CGI/PHP等の様々な機能をモジュールとして実現可能で、用途に合わせた柔軟な構成が特徴
    処理速度が速い 並列処理等の高度なパフォーマンス機能を搭載し、高負荷時でも安定稼働が期待できる
    セキュリティ機能が高い アクセス制御、SSL/TLS暗号化、認証機能、IP制限、モジュールによるセキュリティ強化を提供し、高いセキュリティを実現
    コミュニティサポートが豊富 Apacheは、オープンソースで多くの開発者が参加する活発なコミュニティをあるので、豊富なドキュメントやフォーラムで充実したサポートが受けられる

    オープンソースでコスト効率が良い

    オープンソースのソフトウェアであるApacheは、利用料やライセンス費用が一切不要なので、導入や運用コストを大幅に抑えられるメリットがあります。商用製品の場合は、こうしたコストが大きな負担となる場合がありますが、Apacheなら無料で利用できるため、コストパフォーマンスに優れていると言えます。

    商用のWindows Server+IISといったパッケージ製品の場合、ライセンス購入との初期コストや、バージョンアップごとの更新料金等が発生しますが、Apacheは無料で自由に利用でき、続けられる大きなメリットがあります。また、高額な商用製品のサポート料金も不要で、コミュニティを通じた情報入手が可能です。

    特に規模の大きなシステム基盤において、このライセンスコストやサポートコストの節約効果は非常に大きいものとなり、TCO削減に寄与するでしょう。

    ※TCO削減・・・あるITシステムを導入・運用するのに要する総コストのことです。このライセンス費用や運用コスト、メンテナンスコストを全て合算したコストを削減することを指します。Apacheはこうした経費面での合計額を下げる効果があると言えます。

    クロスプラットフォーム対応

    Apacheは、LinuxやWindows、MacOSといった主要なOS上で動作するクロスプラットフォーム対応を実現しています。OSごとの最適化も行われているので、どの環境でも安定した性能を発揮できるのが特徴です。一つのソフトウェアで、複数のOSをまたぐ運用が可能なので、コストや運用の複雑さを大きく改善できるメリットがあります。

    複数OSを利用する大規模システム基盤の場合、商用ソフトのライセンス購入だけでも多額のコストが求められますが、フリーのApacheならこうしたコスト負担を大幅に削減できます。また、異なるOS間での管理ノウハウの差異もないので、操作方法の統一が可能で運用効率の面でも優位性があります。

    自社内だけでなく、クラウドを含めたハイブリッド環境にも最適化でき、プラットフォーム依存を回避できる柔軟性も大切な強みと言えるでしょう。

    拡張性とモジュール性が豊富

    Apacheには、標準機能に追加の機能を実現させる、様々な拡張モジュールが豊富に用意されています。これらのコンポーネント式の作りにより、CGIやPHPといった必要な要素だけを自由に組み合わせて利用できるのが大きなメリットの一つです。

    用途や要件に応じて柔軟にカスタマイズを進められるので、大規模システム構築時に威力を発揮します。

    こうした拡張モジュールは、オープンソースコミュニティを中心に数多く開発されており、機能面での選択肢も非常に豊富です。

    例えば、認証や圧縮、ロードバランサー等の汎用機能から、アプリケーションサーバーやデータベースとの連携まで、幅広い要件をカバーしています。用途別に最適な拡張を組み合わせることで、そのシステムに特化した最適構成を柔軟に構成できるのが大きな魅力の一つと言えるでしょう。

    処理速度が速い

    Apacheは並列処理などの、高度なパフォーマンス機能を搭載しているため、データ処理速度で高い性能を発揮できます。大量の同時アクセスがある場合でも、サーバー処理能力をフルに生かすことが可能です。

    CPUやメモリーといった、ハードウェアリソースを効率的に活用できる設計になっており、小規模環境だけでなく大量のトラフィックが予想される用途においても安定稼働が期待できるでしょう。

    Apache2.4からは、非同期入出力がサポートされるようになるなど、並列処理アーキテクチャも強化されており、より高速な応答性能が実現しています。クラウド環境に最適化された、Event MPMといった新世代のMPMも登場しており、最新の構成や、チューニングによって更なる高速化が見込めます。

    過去最高のバージョンとなったApache 2.4から、本格始動した高速化トレンドは加速度的に進化を遂げていると言えるでしょう。

    セキュリティ機能が高い

    .htaccess ファイルを使用することで、ディレクトリごとのアクセス制御を細かく設定できます。これにより、特定のIPアドレスからのアクセスを制限したり、特定のユーザーに対して認証を求めることができます。また、IPアドレス別にアクセス制限を設定できるため、アクセスを許可したくないIPアドレスからの訪問を防ぐことが可能です。さらに、SSL/TLSによる暗号化通信を設定することができ、SSL証明書を使用してサイト全体をHTTPS化できます。これにより、通信の安全性が確保されます。

    また、mod_security などのセキュリティモジュールを導入することで、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃に対する保護を強化でき、より堅牢なセキュリティ対策が施せます。.htaccess を使ったこれらの設定により、サーバーのセキュリティを大幅に向上させることができます。

    コミュニティサポートが豊富

    Apacheは無料で提供されているにもかかわらず、そのサポート体制が非常に充実している点が大きなメリットです。公式のドキュメントは詳細で、設定方法やトラブルシューティング、パフォーマンス最適化のためのガイドラインが豊富に提供されています。

    また、活発なユーザーコミュニティやフォーラムが存在し、そこでの情報交換や問題解決が容易に行えます。さらに、セキュリティパッチや機能強化が定期的に行われており、常に最新の技術や安全基準に対応しています。このようなサポート体制が整っていることで、Apacheは安心して利用できるウェブサーバーとなっており、開発者や運用者にとって非常に頼りにされている存在です。

    Apacheを導入するデメリット

    ここからは、Apacheの欠点や課題について見ていきましょう。

    Apacheは高機能なWebサーバーソフトウェアですが、その反面で設定が複雑になる傾向にあります。
    また、セキュリティ対策やメンテナンスにも注意が必要で、継続的な保守が欠かせません。

    ここではApacheのデメリットについて紹介します。

    デメリット 特徴
    高トラフィック環境では動作が重くなる 大量アクセス時のレスポンス低下あり。最新鋭のNginx等より対応力に課題
    設定が複雑 パラメータが豊富でファイル編集の手間大。設定ミスによる障害発生リスクも
    更新とメンテナンスの手間がかかる バージョンアップ作業が大変。OSとの相性など事前確認作業も求められる
    最新バージョンでないとセキュリティ面も不安 過去の脆弱性多数。推奨版への速やかな更新が重要

    高トラフィック環境では動作が重くなる

    Apacheは並列処理機構を搭載しているものの、超大量のアクセス時にサーバー負荷が高騰すると、処理性能が低下する傾向があります。

    そのため、最新バージョンのNginx等に比べると、大規模サイトへの対応力に課題があると言えます。これは、Apacheが処理ごとに新しいスレッドを生成することで、メモリ消費が徐々に増大する仕様が原因であり、一定期間の高トラフィックが続くとリソース不足でのサービス停止につながるリスクがありました。

    しかし、最新バージョンでは「イベント駆動型並列処理の採用」などパフォーマンス面の改善が進んでおり、必要に応じてサーバー台数を柔軟に増減できるクラウド事業者との親和性も向上していることから、この欠点は徐々に緩和されつつあると言えます。

    設定が複雑

    Apacheは高機能な反面、設定ファイル内のパラメーター定義が豊富で複雑なものとなっています。

    ソースレベルでの編集作業が必要な部分もあり、設定ミスによる思わぬ問題発生のリスクも高くなります。このため、Nginx等に比べると、設定変更時の手間が大きい傾向にあると言えます。また、構文的にも繊細な部分が多く、自前で最適化を図るのは難易度が高いです。

    ただし、ディストリビューションごとの設定ツールや管理インターフェースが充実してきており、GUIベースでの設定作業なら複雑なパラメータもある程度カバーできるようにはなってきています。利用形態に合わせたツールの選定が、設定効率化の要ともいえるでしょう。

    更新とメンテナンスの手間がかかる

    Apacheは常に最新版へのバージョンアップが推奨される一方、アップデート作業自体に手間がかかるという課題があります。設定ファイルとの互換性維持や動作確認等が必要なため、稼働中のサービスに対しては大きなリスクとなります。

    また、OSや依存ミドルウェアとの相性問題の可能性もあり、十分な事前確認が欠かせません。運用フェーズごとの、綿密なメンテナンス設計が求められます。

    特にHTTPサーバーの脆弱性は、常にセキュリティ情報としてアナウンスされるので、その対応に追われることにもあります。安定性よりも、機能面を優先させるアップデート方針と相性の悪いOSベンダー等の存在も、運用管理の壁となるケースが少なからず見られます。

    最新バージョンでないとセキュリティ面も不安

    Apacheには過去にも複数の脆弱性が発見されているため、古いバージョンのまま放置するとセキュリティ面での不安が大きくなります。

    推奨環境の最新版に、速やかにアップデートする必要がある一方、その作業コストがネックとなる場合も少なくありません。定期的なアップグレードが、稼働率を維持する上で重要です。中でも、大規模な脆弱性が明らかとなった際には、安全対策の緊急性が高まり、対策を求められるユーザーも多かったはずです。

    コスト面の制約とセキュリティ確保の両立が、Apache運用の難しさであると言えます。

    Apacheの使用例

    Apacheの使用例

    Apacheは、多数WEBサイトなどで利用されています。代表的な使用されているWEBサイトにはどのようなものがあるのかを紹介します。

    標準的なWebホスティング

    静的コンテンツ、動的コンテンツの生成ができます。また、複数のドメインを管理しながら運用できます。セキュリティ面でもHTTPSによる悪背うができるようになっていて、多数サイトなどで運用されています

    バーチャルホスト

    1つのIPアドレスで複数のドメイン管理ができるため、Apache内では、複数サイトを同時に運用できるようになっています。また、複数のIPアドレスを運用して、個別のIPアドレスでWEBサイトの運用もできます。無料でここまでできるのはほかに類を見ない優れてプラットフォームです。

    SSLの設定

    ApacheでもSSLを利用可能で、必要なモジュールを設定すれば、SSL証明書の発行ができます。最初にSSLモジュールをインストールします。商用の証明書や無料のLet’s Encrypt証明書を用意します。あとは、SSLモジュールを有効化して、バーチャルホストを設定します。

    Apacheを導入する際の注意点

    Apacheは高機能な反面、設定が複雑な部分もあります。導入時の準備不足から、思わぬ問題が発生するケースも少なくありません。ここでは、事前に押さえておくべきポイントを簡単に整理していきましょう。

    まず、ファイアウォールの設定はきちんと済ませてからインストール作業を開始することをおすすめします。

    次に、サーバーのハードウェアリソースを十分に確保して、過負荷状態を避けることも重要ポイントです。CPUやメモリは予想される最大同時接続数の2~3倍は用意するようにしましょう。設定に不慣れな場合は、デフォルト値から少しずつ変更していくといった慎重なアプローチも必要でしょう。

    全体像を掴む前に、一気にカスタマイズするのはリスクが大きいです。
    また、設定ミスによるサービス停止を避けるため、本番運用開始前には必ずステージング環境での事前検証が不可欠です。

    Apacheの過去の脆弱性対策として、教訓も多数蓄積されています。OWASP Top10などのセキュリティガイドラインに沿って、リスク回避を徹底することをおすすめします。環境依存のトラブルが起きやすいので、Linuxの種類ごとの使い方の推奨事項も参考にしましょう。

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    Apache以外のNginx、IISLiteSpeedとの比較

    ここからは、代表的な3つのWebサーバーソフトウェアであるApache、Nginx、IISを比較した結果を紹介します。

    それぞれの長所短所を理解した上で、プロジェクトの要件に適合した最適な製品を選択しましょう。

    Apache、Nginx、IISLiteSpeedの機能比較

    ここではApache、Nginx、IIS、LiteSpeed

    の機能比較を紹介します。

    特徴 Apache HTTP Server Nginx Microsoft IIS LiteSpeed
    アーキテクチャ フルマルチプロセス・マルチスレッド 非同期/イベント駆動型 マルチスレッド HTTP/3対応、キャッシュ機能、セキュリティ機能を統合
    得意分野 動的コンテンツ/データベース連携 大容量静的コンテンツ配信 ASP/.NET Webアプリ PHPアプリケーション(WordPress、Magentoなど)の高速化に強い
    適したプロジェクト WordPress、MovableType、Magentoなど、動的なデータベースアクセスを伴うアプリケーションが必要なプロジェクト 大規模メディアサイト、静的ファイル配信を主体とするプロジェクト Windowsベースの社内基幹システムやWebアプリケーション開発、ASPや.NET Frameworkを利用したプロジェクト 高トラフィックサイトや、WordPressやMagentoなどの動的コンテンツを多く扱うeコマースサイト

    Apache

    Apacheの機能面での主な特徴は、フルマルチプロセスで並列動作する、高負荷対応型アーキテクチャを採用している点です。

    動的なデータネースアクセスを伴うアプリケーションであっても、対応可能なデータ処理能力が高く、Linuxプラットフォーム上で安定稼働が期待できます。様々なモジュール拡張による実装機能の豊富さも魅力で、用途や要件に合わせた柔軟な構成が可能です。

    Nginx

    Nginxの機能上の強みは、ストリーミング系コンテンツを中心とした静的ファイル配信における、軽快な高速性にあります。

    内部で、非同期/イベント駆動型並列処理を行うことで、低リソースかつ低遅延なセッション制御を実現しています。Apacheと比較すると、機能面での制限はあるものの、単一領域での極めて高いデータ処理能力の高さを誇ります。

    IIS

    IISは、Windowsサーバーとの親和性が高く、ASPや.NETといったMicrosoftプラットフォーム上での動作安定性が最大の武器です。セットアップや運用管理性も向上しており、Windows Severで安定稼働させる高機能Webサーバーを構築したい場合に最適です。

    特に、大容量メディア配信への対応力ではNginxほどではないものの、堅牢性と拡張性を備えた万能サーバーといえます。また、GUIによる管理機能も充実しており、構築と運用の手間がかからないのが魅力です。

    LiteSpeed

    LiteSpeedは、高速で効率的なウェブサイトホスティングを提供し、特にデータベースを使用するアプリケーションの配信に最適化されています。静的・動的コンテンツの両方を高速に配信でき、ページの動的部分をキャッシュすることでサーバーの負荷を軽減します。

    このキャッシュ機能により、サーバーへの負担を減らし、ページの読み込み速度が最適化され、ユーザー体験を向上させます。

    Apache、Nginx、IIS、LiteSpeedで向いているプロジェクト

    Apache

    WordPressやMovableType、Magentoなどの、コンテンツマネジメント系システムECプラットフォームは、動的なパーソナライズ表示を実現する上で、静的ファイルとデータベースの複雑な入出力や、アクセス分散機能が必要不可欠です。こうした要件を満たす上で、Apacheが提供する柔軟なスクリプト処理機能とプロセス管理アーキテクチャーが適していると言えます。

    つまりクライアントのニーズやプロジェクトの用途に応じ、これらの製品の特性を理解した上で「最適なもの」を選択することが大切です。単純に、一番人気のあるApacheが全てのケースで最善とは限りません。

    Nginx

    Nginxは、大容量メディア配信等の、静的コンテンツを主体としたサイト向けです。

    Nginxが得意とするのは、画像や動画、PDFファイルといった静的ファイルの高速配信です。こうした大容量コンテンツの場合、配信先のユーザー数に比例して、サーバーへの負荷が指数関数的に跳ね上がるため、低負荷かつ低遅延で安定処理できる軽量サーバーが求められます。

    Nginxは、メモリ資源の消費を抑えつつ高速多並列で応えられるので、大規模メディアサイトなどで多く活用されます。

    IIS

    IISは、Windowsベースの基幹業務システムや、ASPサイト等での利用に適しています。

    IISは、Windows Serverとの親和性が高いのが最大の特徴であり、.NETアプリケーションとの連携も容易です。

    そのため、ASPや.NET Frameworkを利用した社内基幹システムやWebアプリケーション開発を想定している場合に、堅牢性と開発効率の両面で優位性があります。特に、Windowsサーバーとの同時調達やクラウド上でのプラットフォーム選択を検討する際には、有力な選択肢となるでしょう。

    LiteSpeed

    LiteSpeedは、高アクセスのサイト、高速アクセスが必要なサイトなどにおすすめです。これは、だ規模サイト、高悪背うが発生するサイト作成に最適なプラットフォームになります。例えば、大規模ニュースサイト、ゲームサイト、SNSサイト作成に向いています。
    ワードプレスを利用したサイト、PHPを利用したWEBサイトなどがおすすめです。また、セキュリティー面も充実していて、HTTP/3、TLS 1.3を利用できるため、セキュリティの強化をやりたいと考えているWEBサイト構築におすすめです。

    Apacheとはのまとめ

    Apache(アパッチ)とは、オープンソースとして無料で利用できるWebサーバーソフトウェアです。

    オープンソースとして無料で使える高性能なWebサーバーソフトウェアを探しているなら、Apacheは最適な選択肢と言えるでしょう。

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