IT業界でよく耳にする「ベンダー」という言葉。
その正確な意味や、サプライヤーやSIerなどの類似用語との違いを理解している方は、意外と少なくないですか?
ITシステムの開発や導入を検討する際に、適切なベンダー選定は重要です。
しかし、ベンダーの種類や特徴を十分に理解していなければ、自社に最適な選択はできません。
そこで本記事では、ベンダーの基本的な定義から、具体的な業務内容、代表的な企業例まで幅広く解説します。
本記事を最後まで読めば、ベンダーについての理解を深め、ITシステム導入の際に最適なパートナー選びができるようになります。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
ベンダーとは?
IT業界ではよく「ベンダー」という言葉を耳にすると思います。でも、一体ベンダーとは何を指しているのでしょうか。
簡単に説明すると、情報システムやソフトウェアなどを開発・販売するIT企業のことをベンダーと呼んでいます。
システムベンダーの意味
もう少し詳しく説明すると、ベンダーは企業のシステム開発から、その保守・運用までを包括的に請け負うIT企業を指します。
具体的には、顧客企業から新しい業務システムの構築依頼を受けた場合、要件定義から基本設計、詳細設計、開発、テスト、移行と、一連の工程を担当します。
プロジェクトを通じて蓄積した、ノウハウや自社製品を活用することで、顧客に最適なシステムを提供できるのが特徴です。
また、システム稼働後も、バグ修正や機能改修、バージョンアップといった保守・運用業務を継続的に受託するケースが多いのがベンダーです。長年にわたって複雑・大規模システムの構築・運営を手掛ける実績があり、顧客との信頼関係が構築されているのが一般的です。
このように、単なる受託開発にとどまらず、自社プロダクトの提供や前述の保守・運用、さらにはコンサルティングといった、付加価値サービスまで幅広く手掛ける点が、ベンダーの大きな特徴と言えます。
顧客の業務そのものをIT面から支援し、最適化していく役割を担っていると言えます。
システムベンダーの役割
具体的な業務内容としては、企業に対して以下のようなITサービスを提供しています。
システム構築(設計・開発・構築・データ移行)
まず基本となるのが、顧客からの要望に基づく新規システムの設計から構築までを一貫して請け負うことです。
要件定義に始まり、基本設計、詳細設計、プログラミング、テストと一連のフェーズを自社のエンジニアが担当。データ移行や教育も含め、稼働開始時点までをワンストップでサポートします。
システム保守(バグ修正や機能追加)
システム稼働後は、バグや課題が発生した際の修正対応を、保守業務として継続的に受託します。機能改修やバージョンアップによる業務拡充も行います。顧客との契約に基づき、問題発生時の迅速な初動対応力が求められます。
運用管理
サーバやネットワークなどのインフラ運用を、24時間365日モニタリングするサービスを提供します。障害発生時は原因特定から復旧作業までを管理運用側が代行します。
このほかにも、コンサルティングや教育といった付加価値サービスを組み合わせ、長期的な視野で顧客システムを最適化していく役割があります。
ベンダーの種類
ベンダーにはいくつかの種類があります。提供する製品や、サービス内容によって分類されています。主なベンダーの種類を見ていきましょう。
開発ベンダー
お客様の要望に応じて、新しいシステム開発を行うベンダーを、開発ベンダーと呼びます。
・業務システム
・ECサイト
・スマートフォンアプリ
など、多岐にわたる開発案件に対応します。
基本的には、お客様から提出された要件定義書に基づいて、設計からコーディング、テスト、リリースに至るまでの一連の開発工程を請け負います。
プロジェクト全体の進捗管理や、品質管理を担うプロジェクトマネージャーを中心に、複数のエンジニアが役割分担して作業を進めていきます。
最近では、アジャイル開発手法への対応が必須となっており、スプリント期間ごとに小刻みにリリースを繰り返す開発スタイルにも適応できる体制が求められます。そのため機動力と技術力に優れた開発ベンダーが評価される傾向にあります。
また、ウェブサービスやスマホアプリの開発が活発化していることから、UI/UXデザインに対するこだわりやマーケティング視点も同様に重要視されているのが特徴です。
ITベンダー
幅広いITサービスを提供する総合的なベンダーを、ITベンダーと呼びます。単なる受託開発にとどまらず、業務コンサルティングからインフラ構築、システム保守・運用に至るまで、企業のIT部門に代わる総合代行サービスを提供します。
具体的には、お客様の業務課題と現行システムの分析からスタートし、業務改善に資する新システムの提案を行います。
次いで、設計段階を経て新システムを開発します。稼働後は運用保守を受託する、いわゆるプロジェクトの上流から下流までを一貫して請け負うことができます。
また、ネットワークやサーバ、データセンター等のITインフラの構築・運営も手掛けており、セキュリティ対策と合わせて、企業のIT部門全般をアウトソーシングすることが可能です。
このため、複数の専門部隊を抱え、SEやPG、インフラエンジニアなど100名単位の技術者集団が存在する大手ITベンダーが多数あります。
セキュリティベンダー
企業システムやネットワークのセキュリティ対策を提供するベンダーを、セキュリティベンダーと呼びます。主に、ウイルスやマルウェア対策、侵入検知と防御、認証基盤といった分野のソリューションを幅広く取り揃えています。
これらの製品を単体で提供する場合もあれば、複数の部品を組み合わせてサービスとして提供することも多いのが特徴です。
例えばウイルス+VPN+ファイアウォールをセットにしたセキュリティパックの利用形態が一般的です。
近年ではセキュリティ運用のアウトソーシングサービスも注目されており、専任組織による24時間365日のセキュリティ監視なども提供されています。
サプライヤーベンダー
企業の生産活動や業務運営に必要な原材料、部品、製品などを供給するベンダーを、サプライヤーベンダーと呼びます。
自動車産業や電機産業など、大規模な製造業を中心に、川上から川下まで多層的なサプライチェーンが形成されています。
サプライヤーベンダーは、そのサプライチェーン上の重要な構成要素であり、高品質な製品を安定的に供給することが役割です。
単なるモノの納入にとどまらず、製品の開発段階から参画し、コストダウンや品質向上に向けた改善提案を行うなど、パートナーとしての役割も期待されます。
昨今、サプライチェーンのグローバル化が進む中で、サプライヤーベンダーの選定と管理が調達戦略上の重要課題です。
特に、新興国の低コストサプライヤーを活用する一方で、品質リスクへの対応が喫緊の課題となっており、サプライヤー監査の強化などが図られています。
メーカーベンダー
ハードウェアやソフトウェアなどのIT関連製品を開発・製造しているベンダーを、メーカーベンダーと呼びます。
パソコン、サーバー、ネットワーク機器、プリンターなどのハードウェアメーカーや、OS、ミドルウェア、アプリケーションソフトなどのソフトウェアメーカーが代表的です。
製品の設計・開発から、製造、販売、保守サービスまでを一貫して手がけているのが特徴で、強みの製品分野に特化している企業が多く見られます。
また、自社製品の機能を拡張するために、他社との協業や他社製品との連携にも積極的です。
業界標準の技術を採用したり、他社との共同開発を行うことで、自社製品の付加価値を高めています。
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ベンダーとサプライヤーの違い
「ベンダー」と「サプライヤー」という2つの言葉の違いについても、詳しく解説していきます。
項目 | ベンダー | サプライヤー |
主な業務 | 自社製品の開発・製造 | 制品の調達と販売 |
強み | 製品開発力 | 機動性と迅速性 |
生産方式 | 内製(垂直統合型) | 外部調達 |
所在地 | 日本国内多し | アジア地域に多い |
在庫リスク | 製品販売 | 仕入差益 |
お客様との関係 | 高い | 低い |
ベンダーは、自社のソフトウェアやハードウェアを開発・製造する立場の企業を指します。製品の設計から部品調達、製造、品質管理と、出荷に至る垂直型のプロセスを内製しています。
一方サプライヤーは、市場から既製品や部品を調達し、ベンダー各社に卸す流通業者に近い立場です。在庫リスクを避けるため実需に応じ調達する機動性が強みで、単価よりも迅速性を提供します。
そのため、ベンダーは製品開発技術力を基盤とする「ものづくり企業」という色彩が強く、サプライヤーは、市場変化への対応力こそが大切であるという、「商社的企業」と見なせます。
ただ、IT市場の流動性が高いため、両者のグレーゾーンも多いのが実情です。
ベンダーとSIerの違い
IT業界には、ベンダーとSIerという、似たような名前の企業が存在します。ここでは、この2つの違いについて簡単に説明します。
項目 | ベンダー | SIer |
主な業務 | 自社製品の開発と販売 | 顧客要望に基づくシステム受注開発 |
主な収益源 | 製品販売と保守 | プロジェクト納品 |
特徴 | 製品開発力が強み | 提案力と開発実行力が強み |
事業型 | ストック型 | フロー型 |
自社製品 | 多数保有 | ほとんどなし |
お客様との関係 | 比較的長期的 | プロジェクト単位 |
ベンダーは自社の商品(ソフトウェアやハードウェア)を開発・販売するメーカー色が強い企業です。SIerに比べて、注文制作よりも製品開発の比重が大きいです。
一方SIerは、他社の商品を組み合わせて、お客様の要望に合わせたシステムを受注開発する色合いが強い企業です。自社商品を持たないことが多く、お客様起点で仕事をするイメージです。
要は、製品志向か顧客志向か、という違いがベンダーとSIerの定義と言えます。
この違いは、ビジネスモデルの差異として表れており、ベンダーは製品開発に人材と資金を注ぎ込み、その後販売・保守で利益を上げるストック型です。
それに対してSIerは、プロジェクトごとの人材投入と成果物納品で対価を得るフロー型、という構造的な違いがあります。
ですから、自社製品開発能力の高さとエンジニア採用力がベンダーの強みである一方、SIerは顧客への提案力と導入開発能力に特化しているということがわかります。
ベンダーとメーカーの違い
IT業界では「ベンダー」と「メーカー」が区別なく使われることがありますが、実はこの2つには異なるニュアンスがあります。
項目 | ベンダー | メーカー |
主な業務 | 各種ITサービス提供 | 自社製品の製造・販売 |
主力製品 | ソフトウェア、ソリューション | ハードウェア、パッケージソフト |
ビジネス起点 | 顧客プロジェクト | 自社ブランド |
収益源 | プロジェクト収益 | 製品販売 |
自社製品 | 少数(SI技術活用) | 多数(製品群) |
移り変わり | メーカー化事例多数 | ‐ |
ベンダーはSIerと同様、お客様起点で各種ITサービスを提供する色合いが強いです。
一方メーカーは、文字通り製品を製造販売する、いわゆるモノづくりに近いポジションにあります。
要するに、メーカーは自社ブランドと製品群を確立しているイメージで、ベンダーはお客様プロジェクトを起点にソリューションを提供する立ち位置と理解されています。
ただし、歴史的にベンダーの中からメーカーに転換する企業が続出しているのも事実です。
既存顧客に自社開発したソフトウェアを、OEM供給したことで製品が評価され、新規顧客獲得に成功するケースが少なくありません。最近ではAIやIoT分野でのサービス展開も盛んで、ベンダーとメーカーの垣根が低くなりつつあります。
したがって、同一企業で両方の顔を持つハイブリッド型が主流で、ビジネスドメインや提供する価値次第で状況に応じた立ち位置を使い分けている、という側面が大きいといえます。
- ※OEM供給・・・メーカーが自社ブランドではなく、他社のブランド名を付けて製品を提供することです。自社開発したソフトウェアを、他社ブランドで販売する場合などにこの名称が使われます。
ベンダーへ依頼するメリットとデメリット
外部のベンダーに開発を依頼することには、それなりのメリットとデメリットが存在します。それぞれの特徴を比較検討することが大切です。
ベンダーへ依頼するメリット
メリット | 内容 |
専門性の高いサービス | ・先端技術を活用した高度なシステム構築が可能 ・他社事例も踏まえたベストプラクティスの提案が期待できる |
コスト・工数の削減 | ・自社SE採用・人件費に比べ大幅なコストダウンが可能 ・需給変動に対応した弾力的な人材確保ができる |
最新技術・ノウハウの活用 | ・自社内のみでは取り入れ困難な最新技術を効率的に利用可能 ・新領域からの斬新な業務改善提案の獲得に期待 |
専門性の高いサービス
ベンダーに依頼する大きなメリットの1つが、自社にない高度な専門性を手に入れられる点です。業務アプリ開発のノウハウや、最新技術を駆使したシステム設計・構築が期待できます。
例えば、AIやRPAを活用した業務自動化、得意とする業界固有の業務ワークフロー構築、新たなアーキテクチャに沿った次世代システム基盤の構築など、自社内でのノウハウ蓄積が難しい先端領域を、ベンダーに任せることができます。
複数社受託しているメリットも大きく、他社事例の知見も踏まえ最適な技術選定が望めます。自社ではリスキーと判断されがちな新たな挑戦も、ベンダー活用で実現可能性が広がります。
コスト・工数の削減
ベンダー依頼では、自社人件費に比べて、外部調達の方が低コストになるケースがほとんどです。また社内に専任で開発チームを構築・維持するよりも、プロジェクトごとに必要な工数・人材を臨機応変に手配できるメリットが大きいです。
コスト面では、自社採用のSE人件費と比較して、大幅に抑えられるのが最大の魅力です。さらに自社人材の再教育コストや、開発インフラ構築・保守のためのコスト負担が不要な点も大きなメリットです。
工数面でも突発的な案件増加に対応するために、自社エンジニアを増員採用してしまい、後には過剰人材を抱え込むリスクを避けられます。必要な時期と工数だけ、ベンダーから人材を注文することが可能な点が強みです。
最新技術・ノウハウの活用
自社だけでは導入困難な最新テクノロジーを、ベンダーを通じて効率的に取り入れることが可能です。例えば、AIやRPA、クラウドなどの新しい技術は、自社内だけで短期間に習得・実装するのが難しい場合があります。
しかしベンダーなら、多数の導入実績がある最新技術を使いこなすことができます。こうした先端技術を活用したシステム更改を、トータルで支援してくれるため、自社での知識不足を補完できるメリットが大きいです。
加えて、ビックデータやAIといった新領域のソリューション提案を通じ、業務改善という観点から全く新しいアイデアを創出する可能性も広がります。
ベンダーへ依頼するデメリット
デメリット | 内容 |
コミュニケーションコスト増 | ・担当者の労力や時間が自社内作業の倍以上かかる |
成果物の品質保証困難 | ・要件漏れやテスト不足による事後修正の可能性が皆無とは限らない |
要件変更への柔軟性欠如 | ・要件変更時に追加のコストが発生したり、納期を短縮することが難しくなったりする |
コミュニケーションコストがかかる
自社内で完結する以上に、担当者間の綿密な打合せや方針すり合わせに時間を要します。十分なコミュニケーションをとることが、プロジェクト成功の必須条件といえます。
具体的には打合せ回数・時間が増加し、担当者の労力も前提比で少なくとも1.5~2倍は見込む必要があります。ベンダー側へのヒアリング実施や、提出物の確認・フィードバック、進捗・課題共有に追われ、担当者の業務効率性が低下するデメリットが生じます。
外部委託の場合、意思疎通を十分に図ることが重要ですが、同じ言葉でも認識違いが発生することも少なからず存在します。ですから、発注側において、コミュニケーションコストをある程度考慮する必要があります。
成果物の品質が保証できない
要件漏れやテスト不足による障害が、後々発生する可能性が0とは言えません。納品後の品質面での懸念材料や、手戻りが課題になるケースが見られます。
例えば、想定外のデータ形態が入力された場合のエラー発生や、頻出作業の所要時間改善が不十分な状態での納品など、発注側が当初意図した仕様・品質とは違っていることがあります。
こうした事態を回避するためにも、設計・開発・テスト工程で発注者側自身が確認・検証を率先して行うとともに、SLAで規定する品質水準を明確化しておくことが欠かせません。
成果物の稼働状況を十分に監視し、品質保証していく姿勢が求められます。
※SLA・・・サービス提供企業が、お客様に対して保証する品質やサービス水準を数値で定めた指標のことです。可用性や応答時間などが、代表的なSLA項目です。
柔軟性に欠ける
契約後の要件変更や、開発フェーズでの舵取り替えが難しい場面も少なくありません。案件を無事に最後まで完了できる、柔軟性の確保も大切なポイントといえます。
自社で制作する場合と比較して、ベンダー依頼時の要件変更範囲や工程見直しは制約が大きくなるのが現実です。仕様変更に対する追加開発費用や、短納期化に伴う残業代などのコストが発注側に発生することも少なくありません。
したがって、案件の着手時点で可能な限り網羅的な要件定義を実施し、変更への影響度を検討・整理するとともに、十分な予備費を見積りに織り込んでおく必要があります。
ベンダーとのコミュニケーション・リレーション構築次第で、ある程度の要望変更には柔軟に対応してもらえる余地もあるでしょう。
ベンダーを選ぶときのポイント
新しいシステムを構築する際、信頼できるベンダーを選ぶことが大切です。ここでは、ベンダー選定の際のチェックポイントを整理します。
実績と信頼性
まず多くの実績があり、高い信頼性があるかを確認する必要があります。
具体的には、自社と同規模もしくは大規模のプロジェクトをどの程度手がけているかを確認します。特に、業種や業務内容が似通ったプロジェクト経験が豊富であることが重要です。
また、そうした大規模案件を同時並行ででこなせる開発体制の強さや、大手企業からの受注状況をチェックすることで信頼性も判断できます。
提案力と開発技術力
要件定義から設計段階で、最適な提案ができること、高品質な開発力を持っているかも大切なポイントです。
具体的には、ヒアリング時の提案内容をしっかり確認します。自社の業務要件を理解したうえで、課題解決につながる新しいアイデアを提案できるかがポイントです。併せて、提供実績のあるAPIや機能を組み合わせた提案は加点です。
入力設計を、複数のプロジェクト管理者がレビューするプロセスがあるか、コーディングチェックツールを使用しているかどうかもポイントです。テスト工程で、シナリオごとの自動テストを行っていることも開発品質の高さを裏付けます。
価格と納期の妥当性
競合相覇の上、コストと工数の妥当性を判断することも重要なステップとなります。
同規模の類似案件の相場価格が分かる場合は、それと比較検討します。明らかに高額、もしくは安すぎる場合は要注意です。また、可能な限り複数社の提案書を取り、コストと工数のバランス感覚を確認します。
工数については、作業内容ごとの内訳が細かく見積もられていることがポイント。単価と工数の見積もり価格の内訳が明確であれば、妥当性も高いといえます。
納期に関しては、期間内での納品を重視しがちですが、むしろ工数のほうが大切という考え方もあります。納期が短く、見積もりすぎると、後から追加工数が発生するリスクもあるので注意が必要です。
コミュニケーション体制
プロジェクト期間中、スムーズに連携できる体制があるかの確認も必要不可欠です。
具体的には、お客様対応の部署があり、問い合わせ受付窓口とその担当者が明確になっていることが大切です。1か月に1回のペースで、工程の進捗状況を報告する会議を設定する等、継続的なコミュニケーション体制が事前に明示されている必要があります。
現場の担当SEとは別に、経営層や営業部門と定期的な意見交換の場を設けることで、プロジェクト方針のすり合わせもスムーズにできます。
さらに、クライアント側に専任のプロジェクトマネージャーを配置し、現場レベルと経営レベルの両面でベンダーとのパイプを太く保つことをおすすめします。
国内外のおすすめベンダー7選を一覧比較!
最後に、国内外にあるおすすめのベンダー企業を紹介します。
富士通
富士通は、日本を代表する大手総合ITベンダーの一つです。大企業向けのシステム開発を中心に、半導体やコンピュータの製造・販売も手掛けています。
特に、金融や製造業といった業種を主要とし、基幹業務システムの分野で高いシェアを占めています。
国内では、多数の拠点とシステムエンジニア(SE)を配置する体制を整えており、大規模プロジェクトに対する一貫したソリューション提供が可能です。
豊富な実績と知見を活かし、顧客の業務課題に対して最適なシステム構築を提案・実行できるのが強みです。
また、自社製品である「FUJITSU Cloud Service K5」を筆頭に、クラウド領域でも積極的なサービス展開を見せています。
オンプレミスとクラウドを連携させたハイブリッド環境の構築も得意としており、クラウド移行をトータルにサポートしています。
NTTデータ
NTTデータは、日本電信電話(NTT)グループのITサービス部門として、通信業界を強みに金融など幅広い分野で多数の案件を手がけています。
特に、金融業界全般において強力な存在感を持ち、特に中小金融機関向けシステムでのシェアが高いです。
親会社であるNTTからの安定した受注に加え、自社セールスでの案件獲得にも積極的で、近年は著しい成長を遂げています。
大規模なシステム統合や、クラウド移行などのプロジェクトを数多く対応し、豊富な実績と技術力が評価されています。
グローバル展開にも力を入れており、インドをはじめとする海外拠点を拡大中です。
研究開発の面でも、AI・IoT・ブロックチェーンなどの先端技術の活用に注力しています。
自社のイノベーションセンターを拠点に、クライアントとの共創型プロジェクトを推進し、新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいます。
日本IBM
日本IBMは、米国の大手IT企業IBMの日本法人です。
メインフレームなどのハードウェアからソフトウェア開発、ITサービス提供まで幅広い事業を展開しています。
特に、金融機関向けの大型システム開発で圧倒的な実績を持ち、メインフレーム分野では高いシェアを維持しています。
システム開発を担当するSEには豊富な知識と経験を持つ人材が多く在籍し、高品質なソリューション提供が可能です。
IBMは、金融機関向けシステム開発において非常に高い評価を受けており、メインフレーム技術の分野では依然として存在感があります。
また、近年は、クラウドへの移行が進む中で、自社のPaaS(Platform as a Service)やSaaS(Software as a Service)を前面に押し出す戦略です。
「IBM Cloud」と呼ばれるクラウドプラットフォームを中核に、AI・IoT・ブロックチェーンなどの先端技術を活用したサービス展開を加速させています。
さらに、IBMコンサルティングは業務改革やDXの支援に注力し、顧客のビジネス変革をトータルにサポートしています。
Amazon
Amazonは、世界最大手のクラウドコンピューティングサービス「Amazon AWS」を提供しています。
サーバーやストレージ、データベースなどのITインフラ資源を、インターネット経由で手軽に利用可能。200以上のサービスを提供しており、ニーズに応じて必要なリソースを柔軟に選択・利用できます。
リソースごとの細かい料金設定により、最適なプランを選択することが可能です。
また、クラウドネイティブなシステム開発・運用に適したサービスが豊富で、機械学習やビッグデータ分析などのデータ駆動型サービスも充実しています。セキュリティ面でも多様なサービスを用意し、安心して利用できる環境を提供しています。
従量課金制のため、初期コストを抑えられ、スタートアップ企業やDXを推進する企業にとって利用しやすいクラウドサービスです。
AWSは、次世代のシステム開発・運用に欠かせないプラットフォームの一つと言えます。
日本マイクロソフト株式会社
Microsoftは、グローバル規模のクラウドサービス「Microsoft Azure」を提供しています。
Azure は、同社の主力製品である Windows Server や SQL Server、Visual Studio などのソフトウェア資産と深く連携しているのが特徴です。
Microsoft社のソフトウェアであれば、既存のオンプレミスアプリケーションを、スムーズにクラウドへ移行できます。
例えば、「Azure Stack」を利用することで、オンプレミスと Azure 上のデータを、リアルタイムに同期可能です。
また、「Azure Autoscale」という機能により、アプリケーションの負荷に応じて、自動的にリソースの容量を調整できます。
コスト面でも、自社資産のライセンス料が割引になる特典があり、Microsoft ユーザーにとってはAzureへの Cloud移行は魅力的な選択肢です。
Google は、パブリッククラウドサービス「Google Cloud Platform (GCP)」を提供しています。
GCP は、Google が長年培ってきた検索や機械学習分野の技術力を活かし、ビッグデータ解析をはじめとするデータ駆動型サービスが充実しているのが特徴です。
例えば、「Cloud Speech-to-Text」や「Cloud Vision API」、「Cloud Translation API」などのサービスを利用し、高度な AI 技術を簡単に自社のアプリケーションに組み込めます。
開発環境も充実しつつあり、「Google App Engine」や「Cloud Functions」などを活用することで、素早く拡張性のあるアプリケーションを開発できます。
また、料金設定はリーズナブルです。通常の仮想マシンよりも大幅に安価な料金で利用できるサービスも提供されており、コストを抑えながら大規模な処理を実行できます。
つまり、Google Cloud Platform は、同社の強みである検索や機械学習の技術を活かしたサービスが魅力的なクラウドプラットフォームです。
特に、データ活用やAI技術の導入を検討する企業にとって、非常に有力な選択肢と言えます。
ベンダーのまとめ
今回はベンダーの意味や特徴、自社開発とのメリット・デメリットについて解説してきました。
社内人材では対応困難な案件において、高度な専門性と新しい技術力を補完できるのが、ベンダー依存の強みです。
一方で、品質面やコスト・工数管理でのリスクもあるため、契約内容の確認や進捗管理が欠かせません。
しかしながら、ベンダーを選ぶ上で大切な点とリスク要因に注意すれば、自社の戦略を補完してくれる存在として活用していけるパートナーです。
ベンダーなどについてご不明点などがありましたら、株式会社Jiteraまでお気軽にお問い合わせください。