AI技術が進歩したことで生まれたのがD-IDというサービスです。
複数のAIの技術を組み合わせることで、アバターが喋る動画を生成できます。リアルな見た目のデジタルヒューマンを作れるため、さまざまな場面で応用できるサービスです。
本記事ではD-IDのビジネスでの活用方法や導入の仕方、注意点まで解説します。初心者の方にもわかりやすく説明しているため参考にしてください。
WEBライター歴12年です。IT系の記事執筆経験は豊富にあります。
D-IDとは

イスラエルのスタートアップ企業がD-ID社です。
D-ID社はAIを用いて動画を生成できるサービスを提供しています。
画像から自然な表情をした動画を作成し、さらに喋らせることも可能です。
D-IDはエンターテイメント分野や教育分野などで幅広く利用されているサービスです。
AI技術の進歩により実現したサービスで、法人から個人まで自由に活用できます。
以下ではD-IDに搭載された機能や技術的特徴を紹介します。
D-IDの基本機能
D-IDに備わる機能を以下にまとめました。
- アバター動画の生成
- 動画の編集・管理
- テキスト読み上げ
- テキスト変換
D-IDを利用すると静止画や3DモデルなどをAIに取り込ませてリアルな仮想人物を生成できます。
テキストを読み上げてもらう機能もあり、別の言語への翻訳も可能です。
人間以外の画像も使えるのですが、実際に喋らせることができるのは、あくまでも人間をモデルにした場合に限られます。
無料トライアル版と有料版があり、無料版は機能が限定的です。
今後は新しい機能が追加される可能性があるため、常に最新情報をチェックしましょう。
D-IDの技術的特徴
D-IDはAI技術が進歩したことで実現したサービスです。
D-IDは以下の3つの技術を組み合わせて成立しています。
- ディープラーニング
- 「GPT-3」を用いたAIテキスト生成
- 画像生成AIのStable Diffusion
D-ID社が独自に開発したフェイスアニメーションのディープラーニング技術が活用されています。
さらに、「GPT-3」によるAIテキスト生成技術、画像生成AIであるStable Diffusionも活用して実現したのがD-IDです。
Stable Diffusionによって、テキストから画像の生成ができます。
「GPT-3」を用いて、自動で応答する機能もあるのが特徴です。
上記の技術により、ユーザーの入力したデータをもとに顔を自動で合成し、アニメーションとして動かし、テキストを読み上げる動画を作れます。
最新の技術が次々と導入されたことでD-IDは画期的な機能を実現させました。
今までにない可能性を追求できるプラットフォームといえます。
D-IDの用途とメリット

革新的な技術であるD-IDは、多くの分野で活躍できる可能性があります。
たとえば、教育現場ではバーチャル講師による動画の作成の活用が考えられるでしょう。
オリジナルのキャラクターの動画を作成して商品・サービスの宣伝をさせることも可能です。
企業の抱える課題を解決し、ビジネスに変革をもたらしてくれます。
以下ではD-IDが主に活用されるシーンや利用するメリットを詳しく紹介します。
D-IDの主な利用シーン
D-IDが活躍できる主な利用シーンを以下にまとめました。
- 研修や講習などの教育動画にバーチャル教師として使用
- セミナーや講習会などのプレゼンター
- 顧客へのビデオメッセージ
- SNSのバーチャルインフルエンサー
リアルに喋るアバター動画を作成できます。
作成した動画はバーチャル教師やプレゼンター、ビデオメッセージ、バーチャルインフルエンサーなど幅広い場面で活躍するでしょう。
たとえば、ゲーム会社であれば、自社のゲームキャラクターの画像から宣伝動画を作れます。
オリジナルのバーチャルインフルエンサーを作れば、SNSでの広告宣伝にも使えるでしょう。
本物の人間のような違和感のない動画が生成できるため、幅広い場面で活用できます。
D-IDのビジネスへの影響
D-IDを使うと、動画を作成する際の時間を大幅に短縮し、人件費も削減できるのがメリットです。
宣伝動画を作成するには、出演者やカメラマン、スタイリストなどの人件費が発生します。
D-IDで宣伝動画を作成する場合は、必要な人材を最低限に抑えられるため、大幅に人件費を削減できるでしょう。
また、画像からAIが短時間で動画を生成してくれるため、宣伝動画を完成させるまでの時間を短縮できます。
宣伝動画以外の用途についても、時間の短縮や人件費の削減の効果は大きいでしょう。
D-IDはコストと労力の削減において大きな効果をもたらしてくれます。
人手や予算などのリソースが足りない中小企業で特に効果が大きいでしょう。
アバター生成におけるD-IDの役割

D-IDによりリアルタイムで応答するアバターを作れます。
また、表情や感情など細かな部分も調整することで、よりリアルさを追求可能です。
D-IDの独自の技術によって、これまで実現が難しかったタイプのアバターも作れます。
以下ではアバター生成においてD-IDの果たす役割を詳しく紹介します。
リアルタイムアバター生成
D-IDは顔認証技術である「Live Portrait」とAIのディープラーニング技術を活用しています。
AIに多数の顔写真を教育データとして渡し、さまざまな顔の構造や表情を学習させたモデルを使った技術です。
利用者が用意した画像を渡すと、AIは画像から顔を認識して、過去の学習データをもとにリアルなアバターを作ります。
入力したテキストを音声データで再生し、音声に合わせてリアルタイムで喋る動作をさせることも可能です。
まるで本当の人間が喋っているように見えるでしょう。
AIが学習した結果として、音声に応じて顔を動かします。
表情を指定することもできて、リアルな感情の表現が可能です。
動画を生成するプロセスはすべてAIモデルが担っています。
人がプログラミングをする必要はなく、高度な知識や技術は要求されません。
人が一からプログラミングをしてアバターを作るのは難しいです。
音声に合わせて表情を動かす部分まで制御するプログラムを組むのは、高度な技術と大きな労力がかかります。
D-IDは人が行うと困難な作業を自動化する役割を果たしており、革新的な技術といえるでしょう。
カスタマイズ可能なアバター
D-ID社は「Creative Reality Studio」というAIツールを展開しています。
「Creative Reality Studio」はテキストや画像からアバターを作れるツールです。
「Creative Reality Studio」はカスタマイズ性が高い点が注目されています。
目的に合わせて適した表情を指定できるのが大きな特徴です。
表情だけではなく声や口元の動きなど細かな部分も調整できます。
簡単な操作で表情や感情まで付加することが可能です。
D-IDの先進的な技術により、カスタマイズ性や多様性の高いアバターの生成が実現しました。
オリジナル性の高い動画を生成できるため、より訴求力のある動画を作れます。
真面目な顔や笑顔、驚きなど表情を調整することでさまざまな感情の表現が可能です。
たとえば、宣伝広告をしたい製品・サービスに合わせて表情を調整できます。
あらかじめさまざまな感情の項目が用意されており、簡単に設定可能です。
特別な知識や技術がなくても簡単に調整できます。
動画生成におけるD-IDの革新性

D-IDは動画生成に革新性をもたらす存在です。
今後はD-IDによって仮想の人物を生成して動画制作に取り入れるケースが増えるでしょう。
細かな調整ができるため、個別ニーズに合わせた動画の作成が可能です。
容易にリアルなデジタルヒューマンを作れるようになったことで、さまざまな場面での活用が期待されています。
以下では動画生成におけるD-IDの革新性について詳しくみていきます。
動画内でのアバター活用
D-IDで生成したアバターは実際の人物の代わりとして使えます。
たとえば、製品・サービスの宣伝や講義を担当させるなどです。
仮想の人物を簡単に作れることから、人を雇ってカメラで撮影するというプロセスを省くことができ、人件費の削減や業務の効率化に繋がります。
実際に人を使う場合と比較すれば、より低コストで短期間に制作できるのは大きなメリットです。
追加で制作する場合でも、仮想の人物を使う場合はスケジューリングが不要であり、必要な動画をすぐに制作できます。
会社の社長や広報の担当者、モデルやタレントなどのスケジュールを入れるのは難しいです。
リモートワークが普及し、物理的な撮影の制約も生じています。
仮想の人物を用いた動画制作であれば、物理的な撮影の課題をすべて解決した上で高品質な動画コンテンツを作成できるでしょう。
また、D-IDを活用すれば外注せずに自社で動画の内製化を実現できる点もメリットです。
自社で制作すれば、外注にかかるコストや期間の問題を解決できます。
動画制作の際には表情や身振りなどの細かな調整が可能です。
仮想の人物を用いる場合は、権利関係がすべて自社に帰属します。
動画の出演者から後になって権利関係を主張されて、動画を使えなくなるといった心配がなくなる点も画期的です。
カスタム動画の生成
D-IDはカスタマイズ性が高いため、カスタム動画の生成において活躍します。
それぞれの個別ニーズに合わせた動画生成が可能になるでしょう。
D-IDでアバターを作成する際には細かな調整が可能です。
たとえば、表情だけでも豊富な種類の中から最適な表情を選べます。
採用動画で用いるのであれば、真面目な表情を用いると良いでしょう。
エンタメ系の宣伝であれば、明るい笑顔の表情が適しています。
D-IDであれば、目的に合わせて調整を行い、最適なアバターを簡単に生成できます。
D-IDは使いやすいツールであり、特別なスキルや知識は必要ありません。
プロモーション動画や研修の講義動画、社内のアナウンス動画など必要に応じて担当者が簡単に動画を作れます。
現在のD-IDの技術は、まだ問題点が残っており、生成された仮装人物が不自然に見えるケースがあるでしょう。
今後はさらにD-IDの技術が向上していき、実際の人間と区別がつかないほど高性能なアバターを作れるようになります。
D-IDの活用事例

D-IDは高品質なアバターを生成できるため、さまざまな現場で活用されています。
たとえば、新製品のプロモーション動画での活用事例です。
教育分野では、バーチャル講師による教育動画が作られています。
誰でも簡単に動画へアバターを取り入れることができるため、今後も多くの分野でD-IDが活発に利用されるでしょう。
以下では具体的な活用事例として、「H-AI NARRATIVE」や教育分野の事例を紹介します。
マーケティングにおける活用
博報堂は新しいAI映像サービスとして「H-AI NARRATIVE」の提供を開始しました。
「H-AI NARRATIVE」は博報堂がD-ID社と共同開発した新しいサービスです。
「H-AI NARRATIVE」では、ユーザーの用意した画像をD-IDによってアバター動画にし、広告プロモーションやストーリーに参加できます。
ユーザーは自身の画像をアップロードすれば、すぐに他の映像素材の中に合成され、作成された動画はSNSで拡散できるのが特徴です。
「H-AI NARRATIVE」を利用すれば、ユーザーはCMの世界観に没入できるでしょう。
また、憧れのタレントと動画の中で擬似的に共演する体験を楽しめます。
ユーザーが広告コンテンツに参加できるようになることで、ブランドとのエンゲージを強化する効果も期待できます。
「H-AI NARRATIVE」はこれまでにない新しいタイプの広告キャンペーンとして活用できるサービスです。
将来的には、「H-AI NARRATIVE」によってアーティストのライブ映像やスポーツの選手紹介に加わるといった体験が提供される可能性もあります。
D-IDを使った新しいマーケティング戦略の事例が「H-AI NARRATIVE」です。
教育分野での利用
D-IDは教育分野での利用が期待されています。
D-IDによって講師のアバターを作成すれば、バーチャル講師を作ることが可能です。
さらに、ChatGPTによって、講義で話す内容を自動生成させられます。
ChatGPTを用いれば、講義の内容をAIに翻訳させることも可能です。
D-IDとChatGPTを用いることで、バーチャル講師にさまざまな外国語で講義をさせられます。
社員への教育や研修のための教材作りとD-IDの相性は良いです。
決まった内容を話すだけの講義であれば、バーチャル講師でも問題ありません。
D-IDで作ったアバターを講師として教材を作る場合は、動画の権利が会社に帰属する点もメリットです。
大学の講義などをD-IDで作ったバーチャル講師に担当させるという利用方法も考えられます。
教員の画像を取り込むことで、教員にそっくりのアバターを作って、リアルに喋らせる動画を作ることが可能です。
喋る内容を翻訳させることで、海外向けの講義動画を公開できます。
これからは教育分野でもD-IDが積極的に活用されていくでしょう。
教育分野のさまざまな課題を解決することが期待されます。
D-IDの導入方法と注意点

実際にビジネスへD-IDを導入する際には、使用するまでの流れを理解しておくことは大切です。
また、導入のリスクや新たに生じる課題にも注目しましょう。
D-IDの導入を進める際には、しっかりとした戦略や計画を立てた上で慎重に準備を進めることをおすすめします。
以下ではD-IDの導入方法から注意点まで詳しくみていきます。
導入のステップバイステップ
D-IDを導入するまでの具体的な手順は以下の通りです。
- D-IDの公式サイトへアクセスしてアカウント登録をする
- プラン・価格を選択する
- 初期設定を行う
- 動画生成の画面を開き、動画生成を開始する
基本的には 登録を済ませれば、すぐに利用を始められます。
D-IDには有料版に加えて無料トライアルが提供されているため、試しに利用したい方は無料トライアルを利用しましょう。
また、動画を生成するまでの流れは次にまとめました。
- アバターの設定を行う
- 動画で使用する人物を選ぶかAIで生成する
- テキストを入力して脚本を作成する
- 言語や声、スタイルなどをせっていする
- 動画を生成する
D-IDでは既存のプレゼンターが用意されています。
豊富な種類のプレゼンターが準備されているため、用途によっては十分なケースもあるでしょう。
既存のプレゼンターでは不十分な場合は、画像をアップロードしAIによってアバターを自動生成させられます。
喋らせる内容については、ChatGPTで脚本を用意すると便利です。
生成された動画は、ライブラリに表示され、いつでも再生できます。
ダウンロードすれば生成した動画をファイルとして保存可能です。
注意すべきポイント
D-IDで作成した動画は、プランによって商用利用ができるかどうか決まります。
5つのプランが用意されており、商用利用できるのはプロ、アドバンスド、エンタープライズのプランのみです。
無料トライアルとライトプランは商用利用が禁止されています。
プロプランは月額16ドル、アドバンスドは月額108ドル、エンタープライズの料金は要相談です。
また、動画を作成する際には著作権や肖像権に注意しましょう。
たとえば、既存のキャラクターや有名人などの画像を取り込むのは避けた方が良いです。
既存のコンテンツと類似しているだけでも、著作権に抵触するリスクはあります。
動画生成のもとになる画像は、さまざまな権利関係をクリアしたものだけを使いましょう。
注意点として、D-IDの技術はまだ発展途上であり、作成した動画に違和感が残るケースがあります。
大きな画面で見ると音声と口の動きが微妙に一致していないのが目立つ可能性があります。
海外のサービスのため、日本語の音声に不自然な部分がある点も注意しましょう。
まとめ:D-IDの将来性と今後の展望

D-IDはAIによって画像から動画を生成できるサービスです。
本物の人間に近いリアルなアバターを作ることができ、テキストを読ませることもできます。
マーケティングや教育分野などさまざまな分野で活用が期待されているサービスです。
今後は技術が進歩することで、より人間と見分けのつかないアバターを実現できるでしょう。
D-IDをビジネスに取り入れれば、業務効率化や人件費の削減、ブランドイメージの強化など幅広い効果を期待できます。
ビジネスの課題に直面している方は、D-IDを取り入れることに注目してみましょう。
D-IDの導入に迷った場合は、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。
貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。




