生成AIの利用はプロンプトが重要になります。プロンプトを書くことで生成AIに対して指示や命令ができるからです。指示の仕方によって、回答の内容が変わります。
より精度の高い回答を得るためには、指示の出し方に工夫が必要です。生成AIを上手く活用できない場合は、指示内容に問題が生じているケースが少なくありません。そこで、本記事では生成AIのプロンプトの書き方や使い方のコツなどを紹介します。
コンピュータの専門学校がプログラミング及び、コンピュータの基礎を学び、その後、日本電気の子会社で働きました。その後、いくつかの開発の仕事を経て,コンピュータの専門学校の講師兼担任を経験し、その後はフリーにてシステムエンジニアやプログラマーの開発の仕事を担当、そのかたわらプログラミングスクールや職業訓練所、企業の新人教育などを担当しました。 25年以上のシステムエンジニア、プログラマーの仕事の経験があります。
生成AIのプロンプトとは

- これから生成AIを活用したいならば、生成AIに関して基本的な理解を深めることが大切です。
- 生成AIはどのような仕組みなのか、プロンプトにはどんな役割があるのか正確に理解しておきましょう。
それでは、生成AIの仕組みやプロンプトの役割・重要性について詳しく紹介します。
生成AIにおけるプロンプトの役割
生成AIに対する命令や指令をプロンプトと呼びます。与える命令・指示の内容によって回答が変わるため、プロンプトは重要です。
- 生成AIによる回答の精度を高めるには、指示・命令の書き方にこだわる必要があります。
- 求めている回答を得るための適切な質問の仕方や指示の出し方を考えなければいけません。
- 曖昧な指示の仕方では、回答の候補が多くなり、自分の求めている回答を得られなくなります。
「おすすめの本は?」という指示では、質問そのものが曖昧であり、生成AIの判断が難しくなるでしょう。「プログラミングの勉強をするためのおすすめの本は?」という指示であれば、質問糸が明確であり、望んだ回答を得られる可能性が高まります。
生成AIのプロンプト作成の流れ

プロンプトを作成する際には意識すべき重要ポイントが多いです。目的を明確にする、情報を整理するといったポイントが大事になります。以下ではプロンプトを作る上で意識したいポイントを紹介します。実践的な例を交えながら紹介するため参考になるでしょう。
目的と情報の整理
生成AIから希望通りの回答を引き出すには明確な目的が必要です。生成AIからどんな回答を得たいのか、目的を明らかにしましょう。目的が明確であれば、プロンプトの方向性が明確になります。目的が曖昧なままの状態では、意図が不明瞭な指示しか出せません。目的を明確にするには、以下のような質問を自問自答してみましょう。
- どんな情報を得たいのか?
- どんなタスクをこなしたいのか
- どんなアドバイスが欲しいのか?
上記の質問に回答していく中で、目的は明確になっていきます。最初に目的を考える過程に時間をかけることで、回答の精度が上がるでしょう。目的が明確化になったら、プロンプトを作成する前に情報を整理しましょう。
短い命令だけでも回答を得ることは可能ですが、精度が低くなります。コンテキストを用意することで回答の精度を上げられるでしょう。コンテキストとは、外部情報や追加の文脈を指します。企画書を作成させるには、以下のようなコンテキストを与えておくと、より精度の高い回答を得られるでしょう。
- 役割
- 提案相手
- 提案する商材
- 提案の目的
- 自社のサービスの特長
- 制約条件
- 出力形式
- 参考情報
企画書の作成をしてもらう場合は、スライドの枚数や出力の形式まで含めて、希望する条件を明記しておきます。また、参考情報を与えることで、より嘘の少ない回答が生まれやすくなるでしょう。
自社や他社の製品やサービスに関する情報や仕様などを整理してコンテキストに記載できるように準備しておきます。
プロンプトを作成する

プロンプトの作成について解説していきます。
目的を明確化して、情報を整理する
まず、プロンプトを作成する前に情報を整理しましょう。
より明確化することによって、精度の高いものを作り上げられます。
簡素な内容のプロンプトを考える
プロンプトはできる限り簡潔な内容にしましょう。
生成AIに複雑なプロセスを提示しても、一部のプロセスが実行されないことがあります。一度に対応できる文字数には限界があるからです。
また、指示が長文になると回答の生成までに時間がかかります。
指示内容が複雑な場合は、生成AIが指示を正確に理解できず、精度の低い回答が生成されることが多いです。
以上の理由から、精度の高い回答を得るには、プロンプトを簡潔に書くことが重要になります。
テンプレートやフォーマットに当てはめる
テンプレートやフォーマットに当てはめて作成すれば、内容は簡潔になるでしょう。
テンプレートに必要な情報を記載すれば、簡潔なプロンプトを作成できます。
簡潔にプロンプトを作成しますが、具体的に書くことも大事です。数値などで具体的に条件を示すことで回答の精度が高まります。
具体的に書くことによって、条件が絞られるため、求めているものに近い回答を得られます。曖昧な表現を極力減らすことを心がけましょう。
主語や目的語も分かりやすく
主語や目的語も明確に記載しておくことで指示が上手く伝わります。
人に対する指示では省略されるような言葉も具体的に書いておくことが大事です。
5W1Hを意識しておくと内容に具体性を持たせられます。
構造化する
プロンプトの作成では構造化が効果的です。構造化すれば、生成AIが理解しやすい形で情報を整理できます。たとえば、タスクを完了するまでに必要な手順を整理して指定しましょう。
【】などで区切ることで入力の異なる部分を示すことも大事です。また、マークダウン記法を取り入れることで構造化を実現しやすくなります。マークダウン記法とは、「#」により見出しを設定する、「*」で箇条書きにするなど、テキストを構造的に記述する手法です。以下が例です。
【概要】行き先、宿泊施設、アクティビティの提案
【条件】予算は10万円以内、期間は3泊4日、国内旅行
【詳細】
行き先:温泉地
宿泊施設:温泉旅館
アクティビティ:観光、食事、リラックス
マークダウン記法による記述は人間とAIの両方が理解しやすい形となっています。テンプレートの利用も構造化するのにおすすめの方法です。テンプレートに必要な情報を当てはめるだけで、プロンプトの構造化を簡単に実現できます。
繰り返し試行錯誤する
プロンプトはいきなり完成形を目指すのではなく、繰り返し試行錯誤しましょう。最初のうちは求める結果が出てこないことが多いです。結果を見て微調整する作業を繰り返すことで、質の高いプロンプトが完成します。試行錯誤する過程の中で指示内容をどうすれば回答の精度が上がるのか理解できるようになるでしょう。
何度もテストする中で、指示内容の微妙な違いが結果に大きな影響を及ぼすことが理解できます。内容を少し変更するだけで回答の精度が大きく上がるケースも少なくありません。最初はシンプルな命令から始めて、少しずつ情報を加えていくというやり方もあります。要素を追加していき、結果を確認する作業を繰り返し、最適なコンテキストを追求しましょう。
生成AIのプロンプト作成のコツ

生成AIを実際に活用する際にはいくつか注意しておくべき点があります。発展途上の技術であり、さまざまな問題点や課題が指摘されているからです。
以下では生成AIを利用する際の注意事項や、成功に導くための戦略について詳しく紹介します。
トンマナを意識する

プロンプトの作成では、生成AIが理解できる形で指示を出さなければいけません。その際には、トーンやマナーなどが大事です。AIは曖昧な命令や指示に対しては曖昧な回答しか返してくれません。AIに指示を出す際には命令口調で何をしてもらいたいのか明確に伝えることが重要です。AIへの命令では冗長な表現を極力排除しましょう。
文法的な誤りや誤字脱字が含まれないことも大切です。可能な限り辞書的に正しい平易な言葉を使うことを心がけましょう。
ツールを活用する
プロンプトを作成するのにツールの活用をおすすめします。ツールの機能を利用すれば、スムーズに生成AIへ命令を出せるでしょう。キーワードやテーマを選ぶ方式や対話方式で利用できるものがあります。インターネット上で無料で公開されているツールが多いため、積極的に活用しましょう。
たとえば、以下のツールはおすすめです。
ただし、ツールで生成したプロンプトをそのまま適用するのはおすすめしません。細かくチェックして微調整を加える作業が必要になるからです。ツールはあくまでもプロンプトの作成を補助する目的で利用しましょう。
専門家に相談する
質の高いプロンプトを作成するには、知識と技術、ノウハウが必要になります。自分たちで対応できない場合は専門家への相談がおすすめです。プロンプト作成の相談に対応してくれる専門家はたくさんいます。技術的な相談だけではなく、プロンプトの作成の依頼も可能です。
中にはサービスへの組み込みからシステム開発まで対応してくれる専門家もいます。
例えば株式会社Jiteraでは、生成AIの最先端技術を活用し、AIに特化した高品質なサービスを提供しています。Jiteraの専属エンジニアは、生成AIを活用したプロンプト作成やシステム開発において豊富な経験と専門知識を持ち、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提案いたします。
もし、生成AIの導入やプロンプト作成に関してお悩みがある場合は、ぜひJiteraにご相談ください。専属エンジニアが詳しくサポートし、最適な解決策を見つけるお手伝いをいたします。
条件指定を徹底する
生成AIへの指示出しでは、細かな条件指定が大事です。条件を細かく指定しておかないと、生成AIは無難な回答を行う傾向にあります。生成AIは確率分布に従って正しいとされる可能性が高い回答を出す仕組みだからです。条件を指定することで、より狭い範囲の中で生成AIは回答を導き出してくれます。
何を出力して欲しいのか、どんな要素を含めて欲しいのかを細かく指定してあげましょう。特定の役割を与えるというテクニックはよく用いられています。
おすすめの生成AI向けプロンプト作成ツール

生成AIを活用するために必要なプロンプトの作成を支援するツールはたくさんあります。
その中でも本記事でおすすめするツールは以下の通りです。
- Bard
- GPT-3 Playground
- Stable Diffusion
- Midjourney
- DALL·E 2(DALL·E 3)
以下ではそれぞれのツールの特徴やおすすめポイントなどを詳しく紹介します。
Bard

Googleの提供する生成AIが「Google Bard」です。現在ではGeminiという名称に変更されています。
FFしてくれるAIです。対話型のAIモデルであり、Chat GPTと同じような感覚で利用できます。
「Google Bard」を利用すれば、さまざまな回答を自動的に生成してくれるため便利です。
たとえば、「Google Bard」を利用してプロンプトの作成も行えます。
「Google Bard」の公式サイトへアクセスし、アカウント登録をすれば、すぐに質問が可能です。
たとえば、「Google Bard」に対して「プロンプトを作成したい」と命令すれば、プロンプト作成に必要な情報を得るための質問をしてくれます。
画面の指示に従って必要な情報を入力していくだけで、「Google Bard」を利用して簡単にプロンプトを出力できるでしょう。
| 項目 | 内容 |
| 料金プラン | 無料のプラン 月額10ドル |
| 特徴 | Chat GPTと同じような感覚で利用可能 さまざまな回答を自動的に生成 |
GPT-3 Playground

「GPT-3 Playground」とは、GPT-3を用いた自然言語処理ができるAIツールです。
GPT-3とは人工知能モデルであり、GPT-3を利用した対話型アプリケーションとしてChatGPTはよく知られています。
「GPT-3 Playground」の公式サイトにアクセスし、アカウント登録をすれば、すぐに利用可能です。
プロンプトを入力することで「GPT-3 Playground」からさまざまな回答を得られます。
「GPT-3 Playground」は文章生成に対応しており、プロンプトを作成させることも可能です。
「GPT-3 Playground」を上手く活用することで、質の高いプロンプトを出力できるでしょう。
| 項目 | 内容 |
| 料金プラン | 要問合せ |
| 特徴 | 対話型アプリケーション プロンプト作成も可能 |
Stable Diffusion

stable Diffusionは、プロント作成ツールではありませんがテキストから画像を作成する画像生成AIです。
公開は2022年でソースコードを無料で使うことができます。
例えばプロンプトに「1girl 」というテキスト入力すると、その指示に基づいた画像を回答します。
使い方は、Google Colabやローカル環境で使うことができます。
ローカル変数では回数や自由度が高くカスタマイズが可能です。
但し、ローカル環境で使う場合はPythonをインストールする必要があります。
Gitをインストールして、stable Diffusionのweb uIをインストールすることによって、グラフィカルな操作をすることも可能です。
画像生成AIで作られた画像を使用する場合は、著作権の注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
| 料金プラン | 要問合せ |
| 特徴 | ソースコードを無料で使用可能 グラフィカルな操作も可能 |
Midjourney

Midjourneyはテキストから画像を生成する画像生成AIです。
MidjourneyはDiscordのチャットポッドとして使えます。
※Discordはサーバーという環境を作成してその中でテキスト、ボイス、ビデオチャットなどでサーバーに参加してる人々がコミニケーションをとれるアプリケーションです。
Midjourneyは、高品質な画像を生成することが特徴で、生成した画像は商用利用も可能です。
※Midjourneyの使用は、有料となってます。使い方は、Discordにアカウントを作成して登録し、サーバーを作って使います。
Midjourney自体はインストールなどをする必要がありません。
但し、日本語には対応してませんので、プロンプトは英語で書くことが必要なのと、無料の使用は現在はなくなっており有料のみとなってます。
| 項目 | 内容 |
| 料金プラン | 基本プラン月額10ドル 標準プラン月額30ドル プロプラン月額60ドル |
| 特徴 | 高品質な画像を生成 生成した画像は商用利用可能 |
DALL·E 2(DALL·E 3)

DALL·E 2(DALL·E 3)は、AIチャットでは有名なChatGptを開発したOpenAIが開発した画像生成AIです。
DALL·E 2(DALL·E 3)は、プロンプトにテキストを入力して質問すれば画像を生成して回数してくれます。
ALL·E 2(DALL·E 3)を使うには、OpenAIが提供するChatgpt plusを使用します。
現在(2024/4)Chatgpt plusは有料となっています。
Chatgpt plusのプロンプトに画像を生成する質問を入力すれば、画像にて回答が得られます。
日本語の対応はできています。
現在(2024/4)はMicrosoftのチャットAIであるCopilotを使うと無料で使うことができます。
| 項目 | 内容 |
| 料金プラン | 要問合せ |
| 特徴 | ChatGptを開発したOpenAIが作った画像生成AI Copilotを使うと無料 |
おすすめのプロンプト例文5選
ここからは生成AIのプロンプトの例文を5つ紹介します。
コツを掴むことでより、理想的な回答を得られます。
商品説明
何を説明したいのか、細かく触れてほしい項目を入力します。
新しいスマートフォン「XPhone 12」の魅力を紹介する商品説明を作成してください。
主な機能、デザインの特長、バッテリー寿命、カメラ性能について触れてください。
物語の導入文作成
物語の大まかな設定を盛り込んだ文を入力します。
中世のファンタジー世界を舞台にした冒険物語の導入部分を作成してください。
主人公が田舎の村で平和に暮らしていたが、ある日突然、村がドラゴンに襲われる場面を描いてください。
カスタマーサポートの返信文作成
どんな状況なのか、どんな風に返信してほしいのかを入力します。
お客様からの問い合わせメールに対する返信文を作成してください。
問い合わせ内容は、購入した製品が破損して届いたため、返品と交換を希望しています。
丁寧かつ迅速に対応する内容にしてください。
技術記事のコラム作成
何のテーマで何について説明してほしいのか入力します。
AIと機械学習の違いについて説明する技術記事を作成してください。
それぞれの定義、応用例、利点と欠点を詳細に説明し、初心者にも分かりやすい内容にしてください。
レシピ作成
材料や手順など、レシピの作成に必要な内容を入力します。
初心者向けの簡単なパスタ料理のレシピを作成してください。
材料、調理手順、調理時間、コツやアレンジのポイントを含めてください。
まとめ:生成AIはプロンプトが重要

生成AIはプロンプトによる指示に従ってデータを学習し回答を与えてくれる技術です。
しかし、生成AIに与えたデータは機械学習に利用される可能性があり、重大な情報漏えいに発展するリスクがあります。
また、生成AIが作成したデータが学習元と同一のものになるケースや、著作権侵害となるケースもあるため、注意が必要です。
つまり、生成AIを扱うのは専門的な知識やスキルが必要にであり、自社で対応できない場合は専門家への相談を検討しましょう。
生成AIの利用で迷った場合は、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。


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