スマホが普及した現代で、多くの人に使われているモバイルアプリ。モバイルアプリの開発を行い、ビジネスとして利用したいという企業も多くあります。
モバイルアプリの開発を行うときに気になるのが、開発期間です。モバイルアプリの開発にかかる期間は、アプリの種類や開発の手法によって異なります。
本記事では、モバイルアプリの開発期間について、開発の手法や作成するアプリごとに細かく解説しています。自社のビジネスでモバイルアプリの活用を考えている方は必見です。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
モバイルアプリを開発する方法と期間
モバイルアプリの開発期間は、簡単なアプリで3ヶ月程度、ゲームなどの複雑なアプリでは1年以上かかるのが一般的です。
開発期間はアプリの種類だけでなく、開発方法によっても異なります。モバイルアプリを開発する方法は「フルスクラッチ開発」と「ノーコード開発」の2つに大別できます。
それぞれの開発手法について、モバイルアプリの開発期間、メリットやデメリットを見ていきましょう。
フルスクラッチ開発
フルスクラッチ開発は既存のシステムを流用せず、すべてのシステムをゼロからオーダーメイドで開発する手法です。
開発期間は、モバイルアプリ開発でも最低で半年以上はかかります。システムをゼロから開発するため、スピード感のある開発には向きません。
フルスクラッチ開発は、オーダーメイドでシステムを開発できるため、他社と差別化された無駄のないシステムを作れます。実現できない機能はほとんどないため、性能が高いアプリを作成できるでしょう。
フルスクラッチ開発は製品の機能が高くなる代わりに、開発の期間やコストが多くかかります。予算を多くかけられない場合は、フルスクラッチ開発で高機能なアプリを開発するのは難しいです。
ノーコード開発
ノーコード開発は、プログラミングを使わず、プラットフォーム上の画面操作のみで行う開発です。画面上のマウス操作でアプリを作成できるため、専門的な知識が必要ありません。
開発期間は2週間〜数ヶ月と短く、フルスクラッチ開発の半分以下の期間で開発が可能です。
ノーコード開発のメリットは、専門的な知識が不要で、短い期間で開発できることです。短期で開発ができるため、開発にかかるコストも少なくなります。
ノーコード開発のデメリットは、定型的な機能しか搭載できない点です。ノーコード開発はプラットフォームで用意された機能に依存したアプリしか開発できないため、独自の機能は搭載できません。
差別化されたアプリを作成するなら、フルスクラッチ開発の方が適しています。
モバイルアプリの開発の進め方と期間
アリ開発は進め方が数種類あり、進め方によって開発の期間も異なります。アプリ開発の進め方としては、下記の2つが採用されることが多いです。
- ウォーターフォール開発
- アジャイル開発
開発の進め方による開発にかかる期間の違いや、それぞれのメリット、デメリットを見ていきます。
ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発は、上流の工程から下流の工程まで、滝が落ちるように順番に開発を進めていく手法です。
ウォーターフォール開発は下記の流れで進んでいきます。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 製造
- 単体テスト
- 結合テスト
- システムテスト
- リリース
各工程を慎重に精査しながら進めていくため、開発期間は長くなりやすいです。一般的には、半年から1年以上かかります。
ウォーターフォール開発のメリットは、スケジュールが明確に決められているため、進捗確認がしやすい点です。各工程ごとの見積もりもしやすいため、大規模な開発でよく用いられます。
ウォーターフォール開発のデメリットは、長期化しやすく、仕様変更に弱い点です。ウォーターフォール開発は、各工程を慎重に進めるため、どうしても時間がかかります。
ウォーターフォール開発では、基本的に手戻りは想定していません。手戻りや仕様の変更がある場合は、全体の進捗に大きく影響します。
アジャイル開発
アジャイル(agile)は素早いという意味で、アジャイル開発は文字どおり早く開発を終わらせるための手法です。アジャイル開発では、機能単位で設計、製造、テストを繰り返し行っていきます。
ひとつのサイクルは2週間くらいで、場合によっては完成した機能からリリースを行います。短いサイクルで開発を繰り返すため、変化に強く、仕様変更にも対応しやすいです。
顧客の要望を開発にすぐに反映できるため、手戻りが少なく効率的に開発を進められます。
デメリットは、機能ごとに開発を進めていくため、完成までの全体像が掴みづらい点です。進捗が管理できず、結果的に納期を過ぎてしまうという事態もありえます。
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モバイルアプリを開発するジャンルと期間
モバイルアプリを開発する期間は、アプリのジャンルによっても異なります。ジャンルごとの開発期間は以下の表のとおりです。
アプリのジャンル | 開発期間 |
SNS系アプリ | 9ヶ月から1年 |
EC系アプリ | 9ヶ月から1年 |
ゲームアプリ | 3ヶ月から数年 |
店舗系アプリ | 6ヶ月から1年 |
金融系アプリ | 1年から数年 |
業務・管理系アプリ | 3ヶ月から6ヶ月 |
学習系アプリ | 3ヶ月から6ヶ月 |
位置情報系アプリ | 3ヶ月から1年 |
SNS系アプリ
SNS系アプリは、ユーザー同士が交流し情報を共有するプラットフォームのアプリです。代表的なSNS系アプリとして、LINE、Instagram、Xなどが挙げられます。
SNS系アプリの開発には、多くの機能が必要です。主な機能としては下記が挙げられます。
- ユーザー登録
- プロフィール管理
- 友達やフォロワー管理
- コンテンツの投稿・共有
- コメント・いいね機能
- リアルタイムの通知機能
- メッセージ機能
- 検索機能
- プライバシー設定
- セキュリティ機能
開発期間は、プロジェクトの複雑さや規模、チームの経験レベルなどによって異なりますが、9ヶ月から1年程度かかることが多いです。
これは、多くの機能を実装し、高い品質と安定性を確保するために必要な時間です。また、ユーザーのフィードバックを受けてアプリを改善し、新機能を追加するサイクルも含めると、さらに開発期間が長くなっていきます。
EC系アプリ
EC系アプリは、オンラインで商品やサービスを販売するプラットフォームです。主なアプリとしては、Amazonや楽天市場が挙げられます。
ユーザーはアプリ内で商品を閲覧し、ショッピングカートに商品を追加して注文を行います。
EC系アプリには、幅広い機能が必要です。必要な機能としては、主に下記があります。
- ユーザー登録
- 商品の検索・閲覧
- カートへの追加・注文
- 決済機能
- 注文の管理
- レビューの投稿
- 商品情報管理
- セキュリティ機能
開発期間は、9ヶ月から1年ほどかかることが多いです。ECアプリは、ユーザーのプライバシーとセキュリティを守ることが重要であり、これらの品質の担保に時間がかかります。
また、顧客のニーズや市場の変化に対応するために、継続的な改善と更新が必要なことも開発期間が長くなる要因です。
ゲームアプリ
ゲームアプリは、文字通りゲームができるアプリのことです。具体例を挙げればキリがありませんが、パズドラ やモンストなどが有名です。
ゲームアプリの開発では、主に以下の機能が必要になります。
- ゲームプレイの実装
- キャラクターのデザイン
- 音楽や効果音の組み込み
- ゲーム内広告や課金システム
- ソーシャル機能(ランキングやチャットなど)
これらの機能を実装するためには、プログラミング言語だけでなく、ゲームエンジンの知識も必要です。
開発期間は、3ヶ月から数年とバラつきがあり、ゲームの複雑さやグラフィックの品質によって大きく変わるのが特徴です。
大規模なプロジェクトでは、開発チームが複数の専門家で構成されることが一般的で、それぞれの専門家が自分の分野で作業を行います。
ゲームのテストとバランス調整も重要な工程であり、開発には多くの時間が必要です。
店舗系アプリ
店舗系アプリは、店舗や企業が提供するサービスや商品をオンラインで提供するアプリです。UNIQLOやGUが店舗系アプリを展開しています。
ユーザーは、アプリを通じて商品やサービスを検索し、購入を行うことができます。また、地図やナビ機能を備えていることが一般的で、ユーザーが店舗の場所を簡単に見つけることが可能です。
店舗系アプリには、主に以下の機能が必要です。
- ユーザー登録
- 商品情報の表示・検索
- カートへの追加・注文
- 決済機能
- 注文履歴管理
- 配送追跡機能
- レビュー投稿
開発期間はアプリの規模によりますが、6ヶ月から1年で完了することが多いです。
店舗系アプリは、ユーザーのプライバシーとセキュリティが重要なため、これらの機能の確保に時間がかかる場合があります。
顧客のニーズや市場の変化も日々変化するため、常に改善とアップデートが必要なことも開発期間が長くなってしまう理由のひとつです。
金融系アプリ
金融系アプリは、ユーザーに銀行や金融機関のサービスを提供するプラットフォーム。楽天銀行アプリが有名です。
金融系アプリには、高度なセキュリティやプライバシーを守る機能が必要です。主な機能としては以下が挙げられます。
- 口座情報の管理
- 送金や支払い
- 取引履歴の表示
- 投資や株式取引
- 予算管理ツール
- 通知やアラート機能
- 二段階認証などのセキュリティ機能
開発期間は、通常1年以上かかり、数年必要なこともあります。高度なセキュリティやプライバシーを確保するためには、慎重な計画と開発が必要です。
加えて、金融規制やコンプライアンスの要件も満たす必要があり、それらの要件を実装するためには多くの時間がかかってしまいます。
業務・管理系アプリ
業務・管理系アプリは、組織内の業務やデータ管理を効率化し、管理するためのアプリです。
業務管理系アプリでは、企業や組織が業務プロセスを効率化し、タスクの管理や情報の共有を行う機能が大切です。主な機能には、下記が挙げられます。
- タスクやプロジェクトの管理
- スケジュール管理
- チームコラボレーション機能
- ファイル共有やドキュメント管理
- ユーザー権限の管理
- レポートや分析機能
- 通知・アラート機能
開発期間は通常、3ヶ月から6ヶ月ほどで完了します。
業務管理系アプリは、企業や組織の重要な業務プロセスを支援するため、安定性や信頼性が求められます。
業務管理系アプリでは、ユーザーのフィードバックや変更要求に迅速に対応するため、アジャイル開発が採用されることもあります。
学習系アプリ
学習系アプリは、ユーザーが自己学習を行うためのプラットフォームです。学習系アプリには、主に以下の機能が必要となります。
- コースや教材の提供
- 進捗管理
- クイズやテストの提供
- 動画や音声の配信
- 学習履歴の表示
これらの開発は通常、3ヶ月から6ヶ月程度の期間で行われます。開発期間はあまり長くありませんが、学習系アプリは教育的なコンテンツを提供するため、正確性や信頼性が重要です。
誤った情報や古い情報を配信しないためにも、継続的な更新や改善が必要となります。
位置情報系アプリ
位置情報系アプリは、地図やGPS機能を活用して、ユーザーの位置情報を取得し、周辺の施設やイベント、サービスなどを表示します。
有名な位置情報系アプリは、Googleマップです。位置情報系アプリでは、主に以下の機能が必要となります。
- 地図表示
- ナビゲーション
- 周辺施設の検索と表示
- ルート案内
- 位置情報の共有
- ジオフェンス機能
- リアルタイムの交通情報表示
これらの機能を実装するためには通常、3ヶ月から1年程度の期間が必要です。位置情報アプリでは、位置情報の取得に公開された機能が利用できる場合があり、その場合は開発が早く進みます。
反対に、位置情報を取得する機能を1から作成する場合は、開発期間が半年を超える可能性が高くなるため、注意が必要です。
モバイルアプリの開発工程と目安期間
モバイルアプリの開発工程とそれぞれにかかる期間について説明します。モバイルアプリ開発は以下の流れで行います。
- 要件定義
- 設計(外部設計・詳細設計)
- 開発(コーディング・プログラミング)
- テスト(デバッグ)
- リリース
リリースまでの工程1:要件定義
要件定義とは、開発の目的やモバイルアプリに必要な機能を定義し、開発の全体像を決めることです。
開発工程では最上流の工程であり、プロジェクトの成否を決める重要な工程です。要件定義で誤った決定をしてしまうと、プロジェクト全体が失敗しかねません。
要件定義には、1ヶ月程度かかることが多いです。
リリースまでの工程2:設計(外部設計・詳細設計)
設計では、要件定義で決めた内容を具体的にどのように製造していくかを設計書に起こしていきます。
設計工程には、全期間のうち30%程度の期間がかかります。6ヶ月間のプロジェクトであれば2ヶ月です。
設計には基本設計と詳細設計があります。基本設計は要件定義をもとに処理の流れを設計したもの、詳細設計は基本設計をもとに具体的な実装方法を設計したものです。
基本設計では要件定義から、アプリに必要な機能や処理の流れを具体化し、その実現方法を記載していきます。
要件定義では、必要な機能とおおまかな説明しかありません。基本設計で、必要な機能を実現するためにどうすればいいのかを考えます。
詳細設計では基本設計よりさらに細かく、各機能を具体的にどう製造するかを設計します。製造は詳細設計を進めるため、製造を意識して設計することが大切です。
リリースまでの工程3:開発(コーディング・プログラミング)
設計が完了したら、設計に基づき開発を行います。この工程は、一般的にコーディングやプログラミングと呼ばれます。
システム開発はプログラミングのイメージが強いですが、開発には全部の開発期間のうち30%ほどしか時間をかけません。6ヶ月間のプロジェクトであれば、2ヶ月程度です。
モバイルアプリ開発のプログラミング言語は、AndroidアプリならJava、Kotlin、iOSアプリならSwiftが人気です。
開発は画面側とサーバー側に分かれます。画面側はフロントエンド、サーバー側はサーバーサイドとも呼ばれます。
フロントエンドとサーバーサイドでは、使用するプログラミング言語が異なることも多いため、別のエンジニアが担当になることも珍しくありません。
リリースまでの工程4:テスト(デバッグ)
開発が終わったら、品質を高めるためにテストを行います。テストは実際にモバイルアプリを動かし、不具合が生じないか確認する工程です。
テストには開発の期間のうち20%程度かかります。6ヶ月のプロジェクトであれば、1ヶ月です。
テストには単体テストや結合テスト、システムテスト等が存在します。単体テストでひとつひとつの機能単位でテストを行い、結合テストでは各機能を連携してテストを実施します。
システムテストは最後に行われるテストです。全部の機能を合わせて動かし、不具合が発生しないか確認します。テストが完了すれば、アプリ不具合のないアプリの完成です。
リリースまでの工程5:リリース
モバイルアプリが完成したら、完成品をリリースします。モバイルアプリのリリースはiOSアプリならApp Store、Android アプリならGoogle Playで行います。
モバイルアプリのリリースは、数分で終わるものではなく、いくつかの手順が必要です。App StoreとGoogle Playのリリースは下記の手順で行います。
Google Play | App Store |
|
|
開発したアプリをリリースする方法:Androidアプリであれば「Google Play」
Google Play Concoleに登録する
アプリの管理を行うため、Google Play Consoleの登録を行います。有料プランもありますが、アプリのリリースは無料でも可能です。
アプリを登録する
アプリの情報を、Google Play Concoleに登録します。ここで登録する情報は、Google Playで公開されるアプリの名称やアイコン、説明文などです。
APKをアップロードする
APKファイルは、アプリの実行用ファイルのことです。実行用ファイルをアップロードすれば、審査の準備は完了です。
アプリの審査
APKファイルをアップロードすると審査が行われます。この審査は人によるものではなく、Googleのポリシーに沿って自動でチェックされるものです。
審査には数時間から数日ほどかかります。
アプリをリリース
チェックが完了すれば、Google Play Concoleからアプリを公開できます。全部の工程を合わせて1週間程度で終わることが多いです。アプリの修正がある場合などは、もう少し長くなる場合もあります。
開発したアプリをリリースする方法:iPhoneやiPadアプリであれば「App Store」
iOSアプリをApp Storeで配信するためには、下記の手順が必要です。
Apple Developer Programに登録する
App Storeでアプリを出すためには「Apple Developer Program」に登録する必要があります。登録には年間99ドル必要です。
App Store Connectにアプリを登録
App Store Connectでは、アプリの登録や審査への提出を行います。
アプリを準備する
App Store Connect上で、アプリの説明文や必要なスクリーンショット、価格の設定を行います。
アプリを審査に提出
App Store Connect上でアプリのバージョンを送信することで、審査待ちの状態にします。審査は1週間程度で完了します。
アプリをリリース
承認されたあとは、リリース日を設定してアプリを公開します。リリースされれば、ユーザーがApp Storeでアプリをダウンロードできるようになります。
一般的に、全部の工程には数週間かかりますが、修正などがある場合は数ヶ月かかることもあります。
モバイルアプリ開発期間のまとめ
モバイルアプリの開発にかかる期間は、開発手法や開発の進め方、アプリの種類によって大きく異なります。モバイルアプリの主な開発手法は「フルスクラッチ開発」と「ノーコード開発」の2つです。
一般的に、フルスクラッチ開発の方が期間が長く、最低でも半年以上かかります。ノーコード開発の期間は数ヶ月で終わることが多いです。
開発の進め方は「ウォーターフォール開発」と「アジャイル開発」が一般的です。
ウォーターフォール開発は、半年以上の期間が必要となります。アジャイル開発では、2週間ほどの期間で設計・開発・テストを繰り返すため、開発の合計期間は短くなりやすいです。
アプリの種類による開発期間の違いは下記の表のとおりです。
アプリのジャンル | 開発期間 |
SNS系アプリ | 9ヶ月から1年 |
EC系アプリ | 9ヶ月から1年 |
ゲームアプリ | 3ヶ月から数年 |
店舗系アプリ | 6ヶ月から1年 |
金融系アプリ | 1年から数年 |
業務・管理系アプリ | 3ヶ月から6ヶ月 |
学習系アプリ | 3ヶ月から6ヶ月 |
位置情報系アプリ | 3ヶ月から1年 |
開発の手法やアプリの種類が変われば、開発期間も変わることが分かっていただけたのではないでしょうか。
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