デジタル時代のビジネスシーンで欠かせないツールとなったクラウドストレージ。場所や時間に縛られずにデータにアクセスできる便利さから、多くの企業や個人ユーザーに利用されています。
本記事では、クラウドストレージの基本概念から、活用メリット、課題点、おすすめのクラウドストレージサービスまで詳しく解説していきます。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
クラウドストレージとは
まずはクラウドストレージの概要からその仕組みについて解説していきます。
クラウドストレージの概要
クラウドストレージは、インターネットを介してデータを保存・共有できるオンラインサービスです。従来の社内サーバーとは異なり、物理的な機器を自社で管理する必要がありません。
近年、テレワークやリモートワークの普及に伴い、クラウドストレージの重要性が高まっています。場所や時間に縛られずにデータにアクセスできるため、柔軟な働き方を支援します。
システム開発の現場では、チーム間でのコード共有やドキュメント管理といった分野で活用しており、そのほかのプロジェクト管理ツールと連携させることで効率的な開発環境の構築を可能としています。
クラウドストレージサービスは多様化しているため、利用目的や規模に応じて最適なサービスを選択することが重要でしょう。
クラウドストレージの仕組み
クラウドストレージは、以下のような仕組みで動作します。
- ユーザーがファイルをアップロード
- データがインターネットを通じてクラウドサーバーへ送信
- サーバー上で暗号化されてデータが保存
- 必要に応じて、ユーザーがファイルにアクセス・編集
クラウドストレージサービスを運営するベンダーは、巨大なデータセンターを所有・運用しています。これらのデータセンターには、膨大な数のサーバーが設置されており、高度な冗長性と可用性を確保しています。
ユーザーは、ウェブブラウザやデスクトップアプリケーション、モバイルアプリを通じてサービスにアクセスします。多くのサービスでは、ローカルフォルダとクラウド上のストレージを自動的に同期する機能も提供しています。
クラウドストレージのメリット・特徴
クラウドストレージのメリットと特徴について解説していきます。
場所や時間に縛られずにデータにアクセスできる
クラウドストレージの最大の利点は、インターネット環境さえあれば世界中どこからでもデータにアクセスできることです。これにより下記のようなメリットが生まれます。
- テレワークやリモートワークの実施が容易になる
- 出張先や外出先からも必要なファイルを閲覧・編集できる
- 異なる拠点間でのデータ共有がスムーズになる
- 複数のデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)間でデータを同期できる
特に開発チームが地理的に分散している場合、常に最新のコードやドキュメントを共有できるのは大きな強みとなります。時差のある国際プロジェクトでもリアルタイムでの情報共有が可能になり、業務効率が大幅に向上します。
初期費用やランニングコストを抑えられる
クラウドストレージを利用することでIT投資に関するコストを大幅に削減できます。
- 初期投資の削減:サーバーやストレージ機器の購入が不要
- 運用コストの削減:自社でのハードウェア管理・メンテナンスが不要
- スケーラビリティ:必要に応じて容量を増減できるため、過剰投資を避けられる
- 電力コストの削減:大規模なサーバールームの運用が不要
特に、スタートアップや中小企業にとっては、IT投資の負担を軽減できる点で有利です。必要な分だけ利用できる従量制の料金体系により、ビジネスの成長に合わせて柔軟にリソースを調整できます。
また、クラウドサービスプロバイダーが提供する最新のテクノロジーを、追加投資なしで利用できるのも大きなメリットです。
高いセキュリティでデータを保護できる
信頼性の高いクラウドストレージサービスは下記のような多層的なセキュリティ対策によりデータを保護しています。
- データの暗号化:保存時と転送時の両方でデータを暗号化
- 多要素認証:パスワードに加え、別の認証方法を組み合わせてアクセスを制御
- アクセス制御:ユーザーごとに詳細な権限設定が可能
- 監査ログ:誰がいつどのファイルにアクセスしたかを記録
- 物理的セキュリティ:データセンターの入退室管理や監視カメラによる保護
さらに専門のセキュリティチームが24時間365日体制で監視・対応するため、最新の脅威にも迅速に対処できます。
ただし、セキュリティポリシーの遵守や適切なアクセス権限の設定など、ユーザー側の運用も重要です。社内教育や利用ガイドラインの整備もあわせて行うことをおすすめします。
自動バックアップ機能でデータ損失を防げる
クラウドストレージの重要な機能の一つが自動バックアップです。これにより、下記のようなメリットがあります。
- データ損失リスクの軽減:定期的に自動バックアップが行われるため、誤操作や機器の故障によるデータ損失を防げる
- バージョン管理:ファイルの変更履歴を保持し、過去のバージョンに戻すことが可能
- 災害対策:地理的に分散したデータセンターにバックアップを保存することで、自然災害などのリスクに対応
多くのサービスでは、バックアップの頻度や保存期間をカスタマイズできます。開発プロジェクトの途中経過を定期的に保存することで安心して作業を進められるでしょう。
また、復元作業も手軽に行えるため、万が一の際も迅速にデータを回復できます。
ファイル共有が簡単
クラウドストレージを利用することでファイル共有が非常に簡単になります。
- リンク共有:URLを共有するだけで、大容量ファイルも簡単に送付可能
- アクセス権限の細かい設定:閲覧のみ、編集可能、期限付きなど、詳細な権限設定が可能
- リアルタイム共同編集:複数人で同時に同じドキュメントを編集できる
- バージョン管理:誰がいつどのような変更を加えたかを追跡できる
- コメント機能:ファイル上で直接フィードバックやディスカッションが可能
これらの機能により、チーム間のコラボレーションが大幅に効率化されます。特に、地理的に分散したチームや外部パートナーとの協業において威力を発揮します。
また、それぞれの上位のサービスプランを採用することで大容量ファイルの送付も容易になるため、容量制限に悩まされることも少なくなるでしょう。
スケーラビリティが高い
スケーラビリティとは、システムやサービスの拡張性を指します。クラウドストレージの場合、ビジネスの成長や需要の変化に応じて、柔軟にリソースを調整できる能力のことをいいます。
- 容量の柔軟な拡張:ビジネスの成長に合わせて、必要な分だけストレージ容量を増やす
- ユーザー数の柔軟な調整:プロジェクトの規模に応じて、アカウント数を増減
- パフォーマンスの最適化:アクセス頻度に応じて、自動的にリソースを調整する機能
この柔軟性により、初期の過剰投資を避けつつ需要の変化に迅速に対応することが可能です。季節変動の大きい業種や急成長するスタートアップにとって特に有用といえるでしょう。
また、グローバル展開を視野に入れている企業にとっても、各地域のデータセンターを活用することで、世界中のユーザーに最適なパフォーマンスを提供できるのが大きな魅力です。
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クラウドストレージのデメリット・課題
メリットが数多く存在するクラウドストレージですが、メリットばかりというわけではありません。デメリットや課題についても把握しておく必要があります。
順番にみていきましょう。
オフラインでは活用できない
クラウドストレージの最大の弱点は、インターネット接続に依存している点です。
- オフライン環境でのアクセス制限:インターネット接続がない場所では、データへのアクセスが困難
- 接続速度による影響:低速な接続環境では、大容量ファイルの操作に時間がかかる
- サービス障害時の影響:クラウドプロバイダー側の問題で、一時的にサービスが利用できなくなる可能性がある
これらの課題に対処するため、多くのサービスはオフライン同期機能を提供しています。重要なファイルをローカルに保存しておくことでオフライン時でも作業を継続できる仕組みではありますが、データの転送はどうしても避けれないプロセスです。
定期的なメンテナンス情報の確認や、作業前のインターネット接続状況の確認など、ユーザー側の対策も重要といえます。
カスタマイズ性が少ない
クラウドストレージサービスは、多くのユーザーに共通するニーズに基づいて設計されているため、カスタマイズ性に制限があります。
- 機能の制約:サービスプロバイダーが提供する機能に限定される
- インターフェースの統一性:ユーザーインターフェースを大幅に変更することが難しい
- セキュリティポリシーの柔軟性:独自のセキュリティプロトコルを適用することが困難な場合がある
- データ管理の制約:データの保存場所や管理方法を細かく指定できない場合がある
これらの制約は、特に規制の厳しい業界や特殊な業務フローを持つ企業にとっては課題となる可能性があります。
エンタープライズ向けのプランでは高度なカスタマイズオプションが提供されていることもありますので、追加のコストを検討する必要があるでしょう。
情報流出への対策が必要
クラウドストレージを利用する際、情報セキュリティには特に注意が必要です。
- データの所在:自社のサーバーではなく、第三者のサーバーにデータを保存することへの不安
- アクセス管理:適切なアクセス権限設定や、従業員の退職時の対応など、運用面での注意が必要
- 法令遵守:国内外の各種規制(GDPR、個人情報保護法など)への対応が求められる
- サイバー攻撃のリスク:クラウドサービスは攻撃のターゲットになりやすい
クラウドサービスプロバイダーの選定時には、セキュリティ認証(ISO 27001など)の取得状況やデータセンターの所在地などを確認することをおすすめします。
無料で使えるおすすめクラウドストレージ3選
ここからはおすすめのクラウドストレージサービス3選をご紹介していきます。
【個人向け/無料あり】Google Drive
Google Driveは、特にGoogleのエコシステムを活用している企業や個人に適しています。文書作成やデータ分析など、幅広い用途に対応できる点が強みです。また、AIを活用した検索機能により、大量のファイルの中から必要な情報を素早く見つけ出すことができます。
開発チームでの活用例:
- プロジェクト計画書やスケジュール管理をGoogle Sheetsで共有
- 仕様書やドキュメントをGoogle Docsで共同編集
- プレゼンテーション資料をGoogle Slidesで作成し、チームでレビュー
セキュリティ面でも、二段階認証やデータの暗号化など、高度な機能を備えています。ただし、機密性の高いデータを扱う場合は、追加のセキュリティ対策を検討することをおすすめします。
項目 | 内容 |
サービス名 | Google Drive |
プランと料金 |
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主な機能 |
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特徴 | Googleのシステムとの統合が強み 文書作成やデータ分析に適している |
【個人向け/無料あり】Dropbox
Dropboxは、特にファイル共有やコラボレーションを重視するチームに適しています。シンプルな操作性と安定した同期機能が魅力です。また、バージョン管理機能により、ファイルの変更履歴を簡単に追跡できます。
開発チームでの活用例:
- ソースコードのバージョン管理(Gitとの連携も可能)
- デザインファイルの共有と反復作業の効率化
- クライアントとの大容量ファイルのやり取り
セキュリティ面では、エンドツーエンドの暗号化やリモートワイプ機能など、高度な機能を提供しています。ただし、無料プランでは容量がかなり制限されるため、ビジネス利用の場合は有料プランの検討をおすすめします。
項目 | 内容 |
サービス名 | Dropbox |
プランと料金 |
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主な機能 |
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特徴 | 使いやすさと安定性が魅力 ファイル共有やコラボレーションに優れている |
【無料あり】OneDrive
OneDriveは、特にMicrosoft製品を多用する企業環境に適しています。Office 365との連携によりビジネス文書の管理が効率化されます。また、SharePointとの統合により、より高度な文書管理やワークフロー構築が可能です。
開発チームでの活用例:
- Excelを用いたプロジェクト管理表の共同編集
- PowerPointでのプレゼン資料の作成と共有
- Teamsとの連携によるコミュニケーションの効率化
セキュリティ面では、多要素認証やデータ損失防止(DLP)などの機能を提供しています。また、ビジネス向けプランではコンプライアンス対応や高度な管理機能も利用可能です。料金は基本的に年額であることに留意しておきましょう。
それぞれのプランにも特徴があり、用途や環境に応じて選択することをおすすめします。無料プランでまずは試してみてから、必要に応じて有料プランへのアップグレードを検討するのも良いでしょう。
項目 | 内容 |
サービス名 | OneDrive |
プランと料金 |
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主な機能 |
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特徴 | Microsoft製品との連携が強み ビジネス文書の管理に適している |
クラウドストレージのまとめ
ここまでクラウドストレージとおすすめのサービスについて解説してきました。データの柔軟なアクセスとコスト効率の高さから、現代のビジネスに不可欠なツールとなっています。
高度なセキュリティと効率的な共同作業機能により、生産性向上に大きく貢献します。一方で、インターネット接続への依存やカスタマイズ性の制限など、課題もあるといえるでしょう。
導入時は、自社のニーズを十分に分析し最適なサービスを選択することが重要です。
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