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プロトタイプ開発の進め方とメリット・デメリット

プロトタイプ開発の進め方とメリット・デメリット

新しいサービスや新機能の開発場面においては、「要件はある程度決まっているものの具体的な完成イメージを持てない」「実際に製品サービスを使ってみなければわからない」というケースがしばしば発生します。このような課題を持つ開発に適した手法が、プロトタイプ開発です。

例えば、スマートフォンがこの世に登場する前、「さまざまなアプリケーションと直感的な操作で生活を変えるディスプレイのみの携帯電話」と聞いても、どのようなものかを想像するのは難しかったでしょう。この状態では、開発者は何を作ればいいのかわからず、ユーザーはどのように評価すればいいのかわかりません。

また、Webサイトやアプリケーションでは、機能は十分でも使い勝手が悪ければユーザーには受け入れてもらえません。使い勝手が良いかどうかは、実際に使ってみなければ判断が難しいところです。完成イメージの具体化や使い勝手の評価を実施したい場合、試作品であるプロトタイプの作成が適しています。この記事では、プロトタイプ開発とはどのような手法なのか、進め方やメリット・デメリットを踏まえて解説します。

Fumie Chinone

プロトタイプ開発とは?

プロトタイプ開発とは、まず試作品を作って、実際に使ってみてから完成形を作りこんでいく開発スタイルのことです。

通常の開発では、要件定義、設計、実装、テスト、リリースと順を追って進めていきますが、プロトタイプ開発では、早い段階で試作品を作成し、それを実際に使用してみることで、機能や使い勝手、技術的な課題などを洗い出していきます。

そのフィードバックをもとに、試作品を改良しながら、最終的な完成形に近づけていくのが特徴です。

プロトタイプ開発の進め方

プロトタイプ開発の進め方は、通常の開発と比べていくつかの違いがあります。まず要件定義と設計を行った後、プロトタイプを開発します。そのプロトタイプを評価し、フィードバックをもとに修正を加えていきます。この評価と修正を繰り返し、完成度を高めていくのがプロトタイプ開発の特徴です。

要件定義

プロトタイプ開発でも、まずは通常の開発と同様に要件定義を行います。ただし、詳細な仕様書を作成するのではなく、大まかな機能要件や画面イメージなどを定義します。

設計

要件定義をもとに、プロトタイプの設計を行います。どのような機能を盛り込むのか、画面のレイアウトやデザインはどうするのかなど、プロトタイプ作成に必要な設計を行います。

プロトタイプ開発

設計をもとに、実際にプロトタイプを開発します。ただし、プロトタイプは完璧である必要はありません。機能や使い勝手を確認するための最低限の機能を盛り込んだものを作成します。

評価

開発したプロトタイプを、実際にユーザーに使ってもらい評価します。使い勝手や機能面での課題、改善点などを洗い出します。開発チームだけでなく、ユーザーや関係者を巻き込んで評価することが重要です。

修正

評価で明らかになった課題や改善点をもとに、プロトタイプの修正を行います。機能の追加や削除、画面の修正など、フィードバックに基づいて必要な修正を加えていきます。

本番開発

プロトタイプの評価と修正を繰り返し、完成度を高めていきます。最終的にはプロトタイプをベースに、本格的な本番開発を行います。プロトタイプで明らかになった課題をクリアし、より完成度の高いシステムを目指します。

リリース

本番開発が完了したら、いよいよリリースです。プロトタイプ開発では、早い段階からユーザーの声を反映できるため、ユーザーのニーズに合ったシステムを提供しやすいというメリットがあります。

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プロトタイプ開発は2種類

プロトタイプ開発には、作成したプロトタイプを使い捨てるタイプと、プロトタイプをベースに本番開発を行うタイプの2種類があります。

前者をラピッドプロトタイピング、後者をブレッドボード・プロトタイピングと呼びます。どちらのタイプを選ぶかは、プロジェクトの目的や規模、期間などによって異なります。

ラピッドプロトタイピング

ラピッドプロトタイピングは、プロトタイプを作成し評価するものの、そのプロトタイプは使い捨てます。本番開発ではプロトタイプを捨てて、一から新たに開発を行います。プロトタイプ作成の工数は最小限に抑えられるのが特徴です。

ブレッドボード・プロトタイピング

ブレッドボード・プロトタイピングは、プロトタイプを本番開発のベースとして活用します。プロトタイプで使用した部品やコードなどを、できるだけ再利用して本番の製品に組み込んでいきます。無駄な工数を減らせるメリットがあります。

プロトタイプ開発のメリット

プロトタイプ開発には、いくつかの大きなメリットがあります。

早い段階で製品のイメージを具体化でき、機能要件や使い勝手を明確にできる点が特に重要です。また、技術的な課題も事前に洗い出せるため、開発リスクを軽減できるのも大きな利点だと言えるでしょう。

完成品のイメージを共有しやすい

プロトタイプ開発では、早い段階で製品の試作品を作成します。この試作品を関係者で共有することで、完成品のイメージを具体的に持つことができます。

言葉だけでは伝えにくい製品のコンセプトや、画面のレイアウト、操作性なども、プロトタイプを見ながら議論することで、関係者の間で認識を合わせやすくなります。

特に、発注者とシステム開発者の間で認識のずれが生じやすい開発プロジェクトでは、プロトタイプを活用することで、スムーズなコミュニケーションが可能になるでしょう。

機能要件を明確にできる

プロトタイプを作成する過程で、システムに必要な機能要件を明確にしていくことができます。

画面遷移図を描いたり、必要な入力項目を整理したりしながら、具体的にどのような機能が必要かを洗い出していくのです。また、プロトタイプを実際に操作してみることで、機能の過不足や、機能間の整合性なども確認できます。曖昧だった要件が明確になり、システム開発者は的確な設計や実装を行いやすくなります。

機能要件の明確化は、開発プロジェクト成功の鍵を握る重要なポイントだと言えるでしょう。

使い勝手を検証できる

プロトタイプを使って、ユーザーテストを行うことができるのも大きなメリットです。実際にユーザーにプロトタイプを操作してもらい、使い勝手や操作性を評価してもらうのです。

ユーザーの声を早い段階から取り入れることで、使いやすいインターフェースを設計できます。また、ユーザーテストで得られたフィードバックをもとに、プロトタイプを改良していくことで、より完成度の高い製品を作り上げていくことができるでしょう。使い勝手の良さは、ユーザーの満足度に直結する重要な要素です。

プロトタイプ開発では、使い勝手を十分に検証し、磨き上げていくことができます。

技術的な課題を検証できる

プロトタイプを作成する過程で、システム開発における技術的な課題を早期に発見できるのもメリットの一つです。

例えば、新しい技術を採用する場合、プロトタイプ開発で実際にその技術を試してみることで、導入の可否や、技術的な問題点を事前に確認できます。また、システムのパフォーマンスや、セキュリティ面での課題なども、プロトタイプの段階で一定程度検証ができます。技術的なハードルが高いプロジェクトでは、プロトタイプ開発が効果的だと言えるでしょう。

プロトタイプを活用することで、技術的なリスクを早めに特定し、対策を打つことができるのです。

プロトタイプ開発のデメリット

プロトタイプ開発には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。プロトタイプ作成に時間と費用がかかることや、開発コストが予定より膨らむリスクがあることなどは、プロトタイプ開発を採用する際に考慮すべき点だと言えるでしょう。

プロトタイプ作成に時間と費用がかかる

プロトタイプ開発では、本格的な開発に先立ってプロトタイプを作成する必要があります。このプロトタイプ作成には、一定の時間と費用がかかります。プロトタイプの完成度を高めれば高めるほど、その分の工数が必要になるのです。

特に、ブレッドボード・プロトタイピングのように、プロトタイプを本番開発に活用する場合は、プロトタイプ作成の工数が無視できないレベルになることもあります。プロトタイプ開発を採用する際は、プロトタイプ作成にどの程度の時間と費用が必要かを見積もり、開発計画に織り込んでおく必要があるでしょう。

予定よりも開発コストが膨らむリスクがある

プロトタイプ開発では、プロトタイプの評価と修正を繰り返しながら、徐々に完成形に近づけていきます。この過程で、新たな要件が追加されたり、大幅な修正が必要になったりすることがあります。当初の想定以上に手戻りが発生すると、開発コストが予定より膨らんでしまうリスクがあるのです。

特に、ブレッドボード・プロトタイピングの場合、プロトタイプを本番開発に活用するため、プロトタイプの修正に多くの工数をかけることになりがちです。プロトタイプ開発を採用する際は、コスト増大のリスクを認識し、適切に管理していく必要があります。

プロトタイプ開発が向いているケース

プロトタイプ開発は、どのようなシステム開発でも有効というわけではありません。システム開発の経験が少ない場合や、参考となる前例が少ない場合、操作性などが重要な場合など、いくつかのケースでプロトタイプ開発が特に有効だと考えられます。以下、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

システムの発注経験が少ない場合や初めての場合

システム開発の発注経験が少ない場合や、初めて発注する場合は、要件定義やニーズを的確に伝えるのが難しいことがあります。

発注者側のイメージが明確でないと、システム開発者とのコミュニケーションがうまくいかず、開発プロジェクトが失敗に終わるリスクがあるのです。

このようなケースでは、プロトタイプ開発が有効です。プロトタイプを作成し、発注者と開発者で共有することで、イメージのすり合わせを行いやすくなります。発注者のニーズを的確に汲み取り、それを具現化していくことができるでしょう。

参考となる前例が少ない場合

全く新しいシステムや、独自色の強いシステムを開発する場合など、参考となる前例が少ないケースでもプロトタイプ開発が有効です。前例がないということは、開発のゴールイメージが描きにくいということでもあります。

このような状況では、プロトタイプを作成し、関係者で確認しながら開発を進めていくのが効果的だと言えます。プロトタイプを見ながら議論を重ねることで、徐々にゴールイメージが明確になっていきます。前例が少ない開発プロジェクトでは、プロトタイプ開発によってリスクを軽減できるでしょう。

操作性や配置・見た目などが重要な場合

ECサイトや業務システムなど、ユーザーの操作性や画面の見やすさが特に重要となるシステムでは、プロトタイプ開発が有用です。プロトタイプを用いてユーザーテストを実施することで、実際の使い勝手を確認できます。ユーザーの声を設計に反映させながら、使いやすいインターフェースを作り上げていくことができるのです。

また、画面の配置やデザインなども、プロトタイプを見ながら関係者で議論し、最適化していくことが可能です。操作性重視のシステムでは、プロトタイプ開発によって、ユーザー満足度の高い製品を生み出せるでしょう。

プロトタイピングツールとは

プロトタイピングツールとは、プロトタイプ作成を支援するためのソフトウェアやサービスのことです。

画面遷移図の作成や、UIデザインの作成、インタラクションの設定などの機能を備えており、プロトタイプ作成を効率化できるのが特徴です。代表的なプロトタイピングツールとしては、Sketch、Figma、AdobeXDなどが挙げられます。

これらのツールを活用することで、より手軽に、高品質なプロトタイプを作成できるでしょう。「プロトタイピング」とは試作モデル(プロトタイプ)を作成し、検証や顧客からのフィードバックによる改善を重ねた後に本番の開発に取り掛かる手法のことです。

他の開発手法との違い

プロトタイプ開発は、他の開発手法と比べていくつかの特徴があります。ウォーターフォール開発やアジャイル開発との違いを理解することで、プロトタイプ開発の位置づけがよりはっきりするでしょう。

プロトタイプ開発は、試作品を作成し評価するという点で、他の手法と異なるアプローチだと言えます。

MVP開発との違い

プロトタイプ開発とMVP開発は、どちらも早期に製品を作成し評価するという点では似ています。しかし、MVP開発はあくまで市場投入可能な最小限の製品を作るのに対し、プロトタイプ開発は機能や使い勝手の検証に重きを置いている点が異なります。

ウォーターフォール開発との違い

ウォーターフォール開発は、要件定義、設計、実装、テストという工程を順番に進めていく開発手法です。計画に従って着実に開発を進めるのが特徴で、大規模で複雑なシステム開発に向いています。

プロトタイプ開発は、試作品を作成し評価するという点で、ウォーターフォール開発とは大きく異なるアプローチだと言えます。

アジャイル開発との違い

アジャイル開発は、短い開発サイクルを繰り返し、フィードバックを受けながら開発を進めていく手法です。柔軟性が高く、変化に強いのが特徴です。

プロトタイプ開発は、試作品を作成し評価するという点ではアジャイル開発に近いと言えます。ただし、プロトタイプ開発はあくまで機能や使い勝手の検証が目的であり、アジャイル開発のように実際に使える製品を作るわけではない点が異なります。

モックアップとの違い

モックアップもプロトタイプの一種ですが、プロトタイプ開発におけるプロトタイプとは少し異なります。

モックアップは主に見た目の確認を目的としており、実際に動作することは想定していません。一方、プロトタイプ開発で作成するプロトタイプは、ある程度の動作を伴うものを指します。インタラクションの確認や、機能の検証ができるのがプロトタイプ開発の特徴です。

スパイラル開発との違い

スパイラル開発も、プロトタイプ開発と同じく、試作品を作成しながら開発を進めていく手法です。ただし、スパイラル開発におけるプロトタイプは、主にリスク評価のために作成されます。

プロジェクトの課題や問題点を早期に発見し、対策を打つためにプロトタイプを活用するのです。一方、プロトタイプ開発では、機能や使い勝手の検証が主目的となります。プロトタイプを作る目的が異なるのが両者の大きな違いだと言えるでしょう。

プロトタイプ開発の注意点

プロトタイプ開発を成功させるためには、いくつかの注意点があります。プロトタイプ開発に精通したエンジニアや開発会社に依頼することや、プロトタイプの確認が本当に必要かどうかを見極めることなどが重要です。

また、開発コストが膨らんだり、プロジェクトが長期化したりするリスクにも注意が必要でしょう。

プロトタイプ開発に精通したエンジニア・開発会社に依頼

プロトタイプ開発を効果的に進めるためには、プロトタイプ開発に精通したエンジニアや開発会社に依頼することが重要です。プロトタイプ開発では、ただプロトタイプを作るだけでなく、評価やフィードバックを得ながら改善を重ねていくことが求められます。

そのためには、プロトタイプ開発の進め方やノウハウを持ったエンジニアや開発会社の力が必要不可欠です。プロトタイプ開発の経験が豊富な開発パートナーを選ぶことで、プロトタイプ開発をスムーズに進め、高い成果を得ることができるでしょう。

プロトタイプの確認が本当に必要なのか検討する

プロトタイプ開発を始める前に、プロトタイプの確認が本当に必要なのかどうかを検討することが重要です。プロトタイプ開発は、あらゆるプロジェクトに有効というわけではありません。

プロトタイプの確認に時間がかかりすぎたり、頻繁な修正が必要だったりすると、かえってプロジェクトの進行を遅らせてしまう恐れがあります。プロトタイプ開発を採用する際は、スムーズな確認・フィードバックが可能な案件かどうかを見極める必要があります。プロトタイプ開発が真に効果を発揮するケースを見極めることが大切だと言えるでしょう。

開発コストが膨らむ場合がある

プロトタイプ開発では、プロトタイプの作成や修正に一定の工数がかかります。当初の想定以上にプロトタイプの修正が発生すると、開発コストが予定より膨らんでしまうリスクがあります。

特に、ブレッドボード・プロトタイピングの場合、プロトタイプを本番開発に活用するため、プロトタイプの品質を高めるために多くの工数をかけることになりがちです。プロトタイプ開発を採用する際は、コスト増大のリスクを認識し、適切な管理が必要です。

場合によっては、プロトタイプ開発を途中で打ち切り、別の開発手法に切り替えることも検討すべきでしょう。

システム開発プロジェクトが長期化する可能性がある

プロトタイプ開発では、プロトタイプの評価と修正を繰り返しながら開発を進めていきます。この過程で、新たな要件が追加されたり、大幅な修正が必要になったりすることがあります。

プロトタイプの修正に時間がかかると、システム開発プロジェクト全体が長期化してしまう恐れがあるのです。特に、プロトタイプ開発の経験が少ない開発チームだと、こうしたリスクが高まります。

プロトタイプ開発を採用する際は、プロジェクトの長期化リスクを認識し、スケジュール管理を徹底することが重要です。状況に応じて、プロトタイプ開発の打ち切りも視野に入れるべきでしょう。

プロトタイプ開発のまとめ

プロトタイプ開発は、早期に試作品を作成し、それを評価・改善しながら開発を進めていく手法です。完成品のイメージを具体化しやすく、機能要件や使い勝手を明確にできるのが大きなメリットだと言えます。

一方で、プロトタイプ作成に時間と費用がかかったり、開発コストが膨らんだりするリスクには注意が必要です。プロトタイプ開発が特に有効なのは、システム開発の経験が少ない場合や、参考となる前例が少ない場合、操作性などが重要な場合などです。

プロトタイプ開発を検討する際は、プロトタイプ開発に精通した開発パートナーを選ぶことが重要です。また、プロトタイプの確認が本当に必要かどうかを見極め、コストや期間の管理を徹底することも大切です。

プロトタイプ開発のメリットとデメリット、注意点を理解し、自社のプロジェクトに適しているかどうかを慎重に判断しましょう。

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