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システム保守費用の相場や根拠が知りたい方必見!失敗しないポイントを解説

システム開発が終わったら、それ以上費用が発生しないわけではありません。

開発したシステムを運用するには、システム保守が必要で、システム保守を外注する場合は費用が発生します。

実際に、システム開発会社へシステム保守を依頼する場合、どのような費用が発生すると想定しておけば良いのでしょうか。

そこで本記事では、システム保守費用の全貌に迫ります。

ソフトウェアのアップデートからハードウェアメンテナンス、テクニカルサポート、そしてインフラストラクチャの維持まで、保守に必要な要素を明らかにし、それぞれの費用がどのように見積もられ、どこに発注すべきかをわかりやすく解説します。

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20年以上のシステム開発経験から、要件定義からプログラム開発、導入や顧客研修まで全工程に関して深い知識を持っています。新しい技術を追い求めることが好き。

システム保守費用とは

システム保守費用とは、開発システムを問題なく稼動させるために、管理や維持、顧客、トラブル対応で発生する費用がまとまったもののことをいいます。

システム保守費用は、システムを長期的に運用することによって生じるため、システム開発費用の一部として見積もりを行うことが重要です。

また、システム保守費用は将来的な要件に対応できるように適切な予算を確保することも忘れてはいけません。実際のシステム保守費用は、以下のような要素から構成されます。

ソフトウェアアップデート

ソフトウェアは、最新版へとアップデートしなければ、エラーが発生し、大きなトラブルにつながってしまうことがあります。

通信障害や運用トラブルを未然に防ぐためにも、ソフトウェアアップデートの運用保守費は欠かせないものとなります。

ハードウェアメンテナンス

システム開発後は、ハードウェアのメンテナンスも必要です。

たとえば、データベースに保管されているデータのバックアップやセキュリティシステムのアップデート、セキュリティリスクへの迅速な対応などがハードウェアメンテナンスの運用保守費に含まれます。

テクニカルサポート

開発サービスにトラブルが発生した場合、非常に頼りになるのがテクニカルサポートの存在です。

テクニカルサポートとは、開発システムの故障や操作方法などの技術問題に対するお問い合わせを、メールや電話、チャットなどで解決してくれる技術サポーターのことです。

専任できるテクニカルサポーターの設置には、一定の費用が必要となるため、運用保守費として考慮しておきましょう。

インフラストラクチャの維持

インフラストラクチャとは、システムの基盤や設備の要素のことをいいます。別名、インフラとも呼ばれています。

インフラストラクチャにおける基盤や設備の要素とは、インターネット通信ならインターネット回線、Webサービスを稼働させるためのサーバ、サービスを安定的に運用するための体制などのことです。

インターネット回線もサーバも運用体制も、決して主軸となるものではありませんが、どれかひとつでもなくなると、システムは正常に稼働できません。

そのため、システム保守においてインフラストラクチャの維持費は、なくてはならない費用となります。

ライセンス費用

システム開発において、特許発明や特許技術を利用する場合は、ライセンス料の支払いが必要となります。

システム開発をする場合は、毎月どれくらいのライセンス費用が発生するのか、事前に見積時に確認することをおすすめします。

システム保守の種類と費用相場

システム保守は、システムの安定した運用を維持するために欠かすことのできない重要な作業になります。

一般的にシステム保守費用は開発費用の5%程度と言われており、大規模システムでは15%が一般的です。また、ECサイト構築などサービス委託の場合は、ハードウェア・ソフトウェア費用の15%相当額の保守費用が別途発生する可能性があります。

保守の種類は大きく分けて「予防保守」「改善保守」「適応保守」「訂正保守」の4つに分類されます。

この章では4つの種類とその費用相場について解説していきます。保守の内容を理解することで、適切な保守体制を整え、システムの長期的な安定運用を実現できるでしょう。

予防保守

「予防保守」とは、システムに障害が発生する前に定期的な点検や整備を行うことです。以下のような内容が含まれます。

  • バックアップの作成と確認
  • セキュリティパッチの適用
  • ストレージの状態監視とデータ削除
  • システムリソースの監視と調整
  • ログの確認と分析

予防保守は、システムの安定した稼働を維持するために欠かせません。障害の未然防止や潜在的な問題の早期発見につながります。

費用は、システムの規模やベンダーによって異なりますが、開発費用の2~5%程度が目安とされています。定期的な点検は手間がかかりますが、突発的な障害によるダウンタイムコストを抑えることに繋がるでしょう。

改善保守

「改善保守」は、既存のシステムの機能や性能を向上させる保守作業です。時代の変化に合わせてシステムを進化させることが目的となり、以下が見込めます。

  • ハードウェアの増設や交換による処理能力の向上
  • ソフトウェアのバージョンアップによる新機能の追加
  • データベースのチューニングによる検索・更新速度の改善
  • ユーザインターフェースの改修による操作性の向上
  • セキュリティ強化のためのシステム改修

改善保守には一定の開発コストがかかります。費用は規模次第ですが、初期開発費の10~30%程度が一般的とされています。改善保守を適切に行えば、業務効率の向上や売上増加につながる可能性があります。

適応保守

「適応保守」は、法改正や新規ビジネス要件などの環境変化に対応するための保守作業です。

  • 税制改正に伴う会計システムの改修
  • 新商品の販売に伴うECサイトの機能拡張
  • クラウドシフトに伴うシステムのマイグレーション
  • 他社システムとの連携のためのインターフェース開発
  • モバイル対応のためのレスポンシブWebデザイン化

社会環境や事業環境の変化に柔軟に対応することが目的となります。適応保守は一種のシステム開発に近く、かなりの開発コストが見込まれ、案件により異なりますが初期開発費の20~50%程度が相場とされています。

事業継続には欠かすことができないため、適応保守への投資は必要不可欠と考えてください。

訂正保守

「訂正保守」は、システムの不具合やバグを修正する保守作業です。

  • プログラムのロジック誤りによる計算ミスの修正
  • データ紐付けの不備による参照エラーの解消
  • セキュリティホールの解消によるシステム脆弱性の除去
  • 画面デザインの不備による表示の見づらさの改善
  • 入力値のチェック漏れによる異常終了の防止

システムの信頼性と安全性を確保することが目的です。訂正保守は突発的な案件が多く、案件の複雑さによりますが数万円から数百万円の予定外の費用が必要となります。

適切な訂正保守を怠ると、業務に重大な影響を及ぼす可能性があります。

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開発サービスごとの保守費用の目安

自社で開発したいサービスがある場合は、次のようなシステム保守費用が発生することを想定しておきましょう。

サービス名 システム開発費用 システム保守運用費用 合計金額(サービス委託費を含む)
マッチングアプリ 2,000万円 300万円 350万円
ソーシャルメディアアプリ 1,500万円 225万円 275万円
AR(拡張現実)システム 1,200万円 180万円 230万円
マッチングサイト 1,000万円 150万円 200万円
ECサイト 800万円 120万円 170万円
ポータルサイト 600万円 90万円 140万円
日時予約システム 500万円 75万円 125万円
eラーニングシステム 400万円 60万円 110万円
CMS構築 300万円 45万円 95万円

※これらのシステム開発費用やシステム保守運用費用は、システム開発会社である弊社(株式会社Jitera)が算出した費用の目安となります。システム保守費用については、保守の範囲によっても異なりますので、詳しくは見積時にご確認ください。

システム保守費用の根拠となる項目

システム保守費用の根拠となる主な項目は、以下の5つが挙げられます。

  • システム規模
  • システムの複雑性
  • 稼働時間
  • 顧客サポートレベル
  • 開発手法・開発言語・フレームワーク

これらの要素によって、保守作業の難易度や工数が大きく変わってきます。適切な保守体制を組むためには、これら項目を踏まえた上で合理的な保守費用を見積もることが重要です。

システム規模

システムの規模が大きければ大きいほど、保守作業の工数が増えます。サーバ台数、ユーザ数、データ容量などがシステム規模の指標です。

大規模システムでは、点検や修正対象が広範囲に及び、リソース監視や統合テストなど、確認作業の種類も増えるためより多くの作業時間を要します。

規模に見合った適切な保守体制と人員を確保し、十分な予算措置が必要不可欠です。システム規模が大きいほど、保守費用は高額になる傾向にあります。

システムの複雑性

システムが複雑であれば、その分保守作業の難易度も高くなります。複雑性は、システムを構成するモジュール数、外部システムとの連携数、バッチ処理の多さなどで判断します。

複雑なシステムほど一つの変更によって広範囲に影響が及ぶ可能性があり、事前の影響範囲確認や統合テスト、リリース後の動作確認など、細やかな作業が求められます。

そのため、高度な技術力と十分な工数を確保することが必要となってきます。また、複雑なシステムでは関係者間の調整にも手間がかかるでしょう。

このように、システムの複雑性に見合った適正な保守費用の算定が重要です。単純なシステムに比べれば、複雑なシステムの方が保守費用は高額になる傾向にあります。

稼働時間

システムの稼働時間が長ければ長いほど、保守作業の実施タイミングが限られてしまいます。

24時間365日の無停止システムでは、保守は深夜や休日の時間外での対応が避けられません。

そのため、作業時間外への人件費の発生が避けられず、コストアップにつながります。また、システムの一時的な停止が難しい場合は、回線や機器の予備を用意するなどのリソース確保が必要となり、さらなるコストの増加要因となります。

一方、夜間や休日に停止可能なシステムであれば、保守作業の実施は比較的容易です。また、システムの一時停止に伴うユーザへの影響も少ないでしょう。

このように、無停止システムの保守では、停止が可能なシステムに比べて高額な費用が見込まれ、稼働時間に応じた適切なスケジューリングと予算確保が不可欠となります。

稼働時間が長ければ長いほど、保守費用は高くなる傾向です。

顧客サポートレベル

顧客へのサポートレベルが高ければ、保守作業に対する品質要求水準も高くなります。

障害発生時の迅速な原因究明と対応、問い合わせ対応のためのホットライン設置など高いサポートレベルが求められる場合には保守体制を手厚くする必要があります。そのため、保守担当者の増員や、24時間体制での常時待機態勢の構築が欠かせません。

結果として人件費の高額化につながり、保守費用も増加傾向となります。

一方、顧客サポートレベルが低ければ保守体制を手薄にできるため、人件費の抑制により保守費用を低く押さえる事ができるでしょう。

このように、顧客サポートレベルに見合った適切な保守費用の設定が重要であり、高いサポートレベルが求められるシステムほど、保守費用は高額になる傾向があります。

開発手法・開発言語・フレームワーク

システムの開発手法や、使用する言語・フレームワークによって、その後の保守作業のしやすさが変わってきます。

アジャイル開発の場合、要件の変更に柔軟に対応できるため、保守への対応も比較的スムーズです。一方、ウォータフォール型開発では、計画段階から保守への配慮が不可欠。

開発言語やフレームワークによっても保守のしやすさは異なり、コーディング規約の有無や、構造化の程度、ツール・ドキュメントの整備状況などの影響も無視できません。

言語やフレームワークに精通したエンジニアの確保が容易か否かも、保守体制に影響します。さらに、オープンソースかクローズドかによっても、保守の難易度は変わってきます。

このように、開発手法や技術スタックに合わせた適切な保守体制と予算の確保が求められます。

保守がスムーズに行える環境であれば、その分保守費用を抑制できますが、保守が難しい環境では高額な費用となるでしょう。

システム保守費用の算出方法

システム保守費用の算出方法には、主に「定額制」「従量課金制」「時間制」の3つのパターンがあります。

「定額制」は、保守作業の内容や工数に関わらず一定の月額料金を支払う方式です。「従量課金制」は、保守作業の発生量に応じて課金される方式であり、「時間制」は、保守作業に要した実作業時間に応じて課金される方式となります。

それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、システムの特性や要件に合った算出方法を選ぶことが重要です。

定額制

定額制とは保守作業の内容や工数に関わらず一定の月額料金を支払う算出方法です。月額保守料金は、システムの規模や複雑度、サービスレベルなどを勘案して決定されます。

具体的には、システムの初期開発費用の10~20%程度が目安とされていますが、大規模システムの場合はそれ以上の金額設定となることもあります。

保守対象のシステム内容と提供されるサービス内容を十分に確認し、適正な月額料金を算出します。

定額制は、保守作業の発生頻度が比較的高く、工数が一定程度見込まれるシステムに向いています。保守費用を毎月固定で払えるため、予算の平準化が可能となるためです。

一方、保守作業が少ない場合は料金が高くつく可能性があります。中小規模の基幹システムや、サービスを委託するシステムなどに定額制が多く採用されています。

従量課金制

従量課金制とは保守作業の発生量に応じて課金される算出方法です。作業単位ごと(例:1ケース)の単価が設定されており、実際に発生した作業量に単価を乗じて費用が決まります。

単価の設定は作業内容の複雑さや工数見積もりを基に行われます。例えば、プログラム修正は5万円/ケース、バッチ修正は3万円/ケースなど、作業種別ごとに異なる単価が設定されることが一般的です。

従量課金制は、保守作業の発生頻度がそれほど高くない傾向のあるシステムに向いています。作業が起きないときは費用が発生しないため、コストを抑えられます。一方、大量の作業が集中すれば、その分多額の費用が発生するリスクがあります。

ウェブサイトの小規模改修や、スポット的な機能追加など、保守作業が断続的に発生するようなシステムでは従量課金制が採用されることが多いでしょう。事前に想定外の大量作業が発生しないことを前提とする必要があります。

時間制

時間制とは保守作業に要した実作業時間に応じて課金される算出方法です。単価は作業者の技術レベルや時間帯(夜間・休日は割増)によって異なります。

例えば、プログラマの場合は、日中の通常時間帯なら1時間あたり5,000円、夜間や休日は7,000円といった単価設定がよくあります。作業時間を実数で集計し、単価に従って費用を算出していきます。

時間制は、スポット的で工数見積もりが難しい保守作業に向いています。特に、障害対応や問い合わせ対応などは事前の工数予測が難しく、時間制で対応することが多いでしょう。

一方で、計画的な保守作業の場合は、工数見積もりが可能です。そういった作業に時間制を採用すると、過剰なコスト発生のリスクがあります。

時間制の長所は、実費精算ができる点にあります。作業時間に応じて適正な費用を支払えるため、発注者にもメリットがあります。ただし、作業時間を正確に記録・検収する必要があり、運用が煩雑になるデメリットもあります。

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システム保守の費用見積もりから発注までの流れ

システム保守を発注する際には、適切な見積もりを取り、条件の良い業者を選定することが重要です。

発注までの流れは、「要件定義」「業者選び」「見積もり依頼」「見積内容の確認」「提案内容の比較と検討」「契約締結」「保守運用開始」という手順を踏みます。

各ステップで留意点を押さえ、計画的に進めていくことで、ニーズに合ったコストパフォーマンスの高い保守体制を構築できます。

要件定義

システム保守を適切に発注するための第一歩が、要件定義です。保守対象のシステムの詳細を洗い出し、どのようなサービスレベルが求められるかを明確にする作業です。

まずは保守対象システムの規模、複雑性、稼働時間、開発手法などの基本情報を整理しましょう。サーバ台数、ユーザ数、データ量、モジュール数、バッチ数、開発言語などのスペックを確認し、システムの全容を把握していきます。

次に、そのシステムに対してどの程度のサポート品質が求められるかを定義します。障害対応の緊急性、問い合わせ対応の範囲、対応時間、休日・夜間対応の要否など、サービスレベルを明確にすることが必要です。

さらに、具体的な保守作業内容を詳細に洗い出します。日々の監視作業、定期点検、障害対応、機能改修、セキュリティ対策、移行作業などの要件を、可能な限り明確にリストアップしていきます。

こうした要件を文書化し、発注仕様書を作成します。仕様内容について関係者で合意を取り、保守業者への指示書となるよう、明確かつ正確な記述を心がけましょう。

業者選び

システム保守を外部に発注する場合、適切な業者を選ぶことが肝心です。技術力だけでなく、対応力、コスト、実績など、総合的な視点での評価が重要となります。

まずは、保守対象システムの開発業者やサポート実績のあるベンダーから候補を絞り込むのが一般的でしょう。同種システムの保守実績があれば、ノウハウが蓄積されているメリットがあります。

次に、業者の技術力と対応力を確認します。資格保有者数や経験年数、支援体制などを入念にヒアリングします。保守内容に十分対応できる技術力と人員を有しているか評価が必要です。

さらにコストについても重視すべき点です。人件費の違いから、同じ条件でも業者により見積もり額は大きく変わります。適正な価格水準を知っておくことが大切です。

実際に過去の納入事例を確認し、品質と対応力を評価するのも有効な手段です。障害対応への迅速性、要件変更への柔軟性など、保守業者の姿勢や態度を確かめましょう。

これらの項目を総合的に評価し、優先順位をつけて候補業者を選定します。要件をクリアできる技術力と体制、適正なコストパフォーマンス、円滑なコミュニケーションが図れる業者を選ぶことが重要です。

見積もり依頼

業者を絞り込んだ次の段階は、具体的な見積もりを依頼することです。適切な見積条件を明確に示し、比較検討可能な内容の見積書を入手することが重要です。

まずは発注仕様書を作成し、見積依頼時の基礎資料として業者に提示します。保守対象システムの詳細、求められるサービスレベル、具体的な保守作業内容などを記載した文書です。要件の認識のズレを防ぐためにも、正確かつ明確な記述を心がけましょう。

次に、見積依頼時に指示する条件を明確にします。見積対象期間、算出方法(定額制や従量制など)、対応時間帯、作業場所、準拠するべき規約類など、条件をあいまいにしないよう注意が必要です。

料金の明細内訳も重要な指示項目になります。工数単価と適用単価の明示、作業工程ごとの工数の明示、機器・ツール類の料金明示など、できる限り具体的な内訳を求めましょう。

また、業者の実績や体制、サポートスキルなどの情報提供も依頼する必要があります。提案内容の評価に必要となるため、あらかじめ提出を求めておきます。

こうした指示に基づき、候補業者に一括して見積もりを依頼します。同条件での比較が可能となるよう、依頼内容には十分注意を払います。

見積もり内容の確認

業者から見積書が提出されたら、次はその内容を入念に確認する作業に移ります。金額だけでなく、要件への対応状況や提案内容なども吟味し、適正性を評価する必要があります。

まずは見積金額の妥当性から確認していきましょう。同条件の案件での過去実績や市場相場など、適正価格を知る目安を参考にします。細かい積算内容も吟味し、必要以上に高額な設定がないか注意を払います。

システム保守費用は、システム開発時の最初の見積段階で事前に金額を算出しておくのがおすすめ。

約15%がシステム保守費用の目安であることを知っておけば、システム開発会社から不当な金額を算出していないかをチェックできます。

もし、早いタイミングでシステムの保守費用やサービス保守費用を知りたい場合は、システム開発会社のお問い合わせから費用の相場を聞いてみても良いでしょう。

次に提案内容が発注要件を満たしているかを確認します。保守対象システムの理解、サービスレベル対応、作業範囲の認識など、要件の漏れやズレがないかどうかを確認します。

業者の実績や体制、技術スキルなども発注要件に適合しているか評価が必要です。スキル不足による手落ちのリスクがないかを入念にチェックします。

加えて、保守業務の品質を左右する重要項目についても見落とすことがあってはなりません。障害対応の緊急性、作業内容の具体性、成果物のレベルなど、サービス品質面でも要件を満たしているか確かめる必要があります。

こうした項目を一つひとつ丁寧に確認し、抜け漏れや疑問点を洗い出していきます。

不明点や曖昧な記載があれば、業者に対して内容の補足説明を求めましょう。発注要件に適合した適正な内容であることを、確認作業を通じて担保することが重要です。

提案内容の比較と検討

複数の業者から見積書が提出されたら、その内容を比較・検討する作業に入ります。金額面だけでなく、提案内容全体のメリット・デメリットを多角的に評価し、最適な業者を選定することが肝心です。

まずは見積金額を比較し、大まかな高止まり感を確認しましょう。同条件での提示額に、不自然な高額感や低額感があれば、その理由を分析する必要があります。

次に、提案内容の違いを項目ごとに比較していきます。保守作業の範囲、実施体制、品質保証、リソース確保、報告体制など、個々の提案の良し悪しを見極めていきます。

それと同時に、各提案に含まれるリスクの大小についても検証します。作業漏れのリスク、品質リスク、人員リスク、コミュニケーションリスクなど、保守の質を左右するリスクも洗い出しも必要になります。

一方で、付加価値となる提案も評価すべき点です。新技術の提案、付随作業への言及、システム移行のロードマップ提示など、プラスアルファの部分を見逃さないようにしましょう。

こうした評価項目を総合し、それぞれの提案の長所と短所を明確にしていきます。単に安価というだけでなく、全体のコストパフォーマンスを勘案して最適な業者を選びます。

選定の理由を明確にし、関係者の合意を得ることが重要です。

契約締結

業者選定が完了したら、次は正式な契約締結へと移ります。発注条件や作業内容、費用など、具体的な契約内容を詰める重要な段階となります。

まずは、選定した業者の提案内容を改めて確認します。保守作業の範囲、サービスレベル、作業体制、品質保証、報告体制など、提案された内容に漏れがないかを入念にチェックしましょう。

次に、契約期間や契約金額、支払い条件などの基本条件を確認し、双方で合意を取ります。金額は見積書の内容を基に決定しますが、追加の調整が必要な場合もあります。

その上で、具体的な契約書の条文を詰めていきます。発注側と受注側の役割分担、作業の実施手順、成果物の定義、しっかりと規定しておくことが大切です。

重要なのは、作業水準や品質保証に関する条項です。作業の遵守事項、品質基準、検収条件、債務不履行時のペナルティなどを明記し、保守作業の質を担保します。

加えて、機密保持義務、再委託の有無、知的所有権、紛争発生時の対応なども定めます。トラブル発生時の対処法をあらかじめ明確にしておくことが肝心になります。

このように、互いの権利義務関係を明確に規定した上で、契約書を締結します。締結前に最終確認を行い、疑義のない内容であることを双方で合意することが重要です。

発注者、受注者間で認識の相違がないよう注意を払いましょう。

保守運用開始

契約締結が完了すれば、実際の保守運用に移行する段階になります。この段階では、円滑な立ち上げと適切な品質管理が肝心です。

まずは、保守作業の開始に向けた引き継ぎ作業を入念に行います。保守対象システムの構成、運用マニュアル、過去の障害履歴など、保守に必要な情報や資産を網羅的に提供します。システム理解が不十分だと、保守品質が劣ることにつながるためです。

並行して、保守体制の立ち上げを進めます。作業拠点の確保、人員配置、ツール導入、通信環境の構築など、円滑な保守作業に必要な環境を整備して行きます。

本格運用開始に先立ち、保守業者による事前の作業検証も欠かせません。障害対応の手順確認、モニタリング環境の検証、設計書やドキュメントのレビューなど、保守品質を高める準備作業を実施します。

こうした準備段階を経た上で、本格的な保守運用を開始します。障害監視・対応、定期保守、問い合わせ対応、改修作業など、契約内容に基づいた保守サービスの提供が始まります。

同時に、発注側による品質監視体制も重要です。作業状況の定期確認、納品物のレビュー、満足度の継続的なフォローアップなどを行い、保守品質を常に一定のレベルに保つ必要があります。

このように、発注者と受注者の双方で、円滑な立ち上げと品質管理に万全を期すことが不可欠です。お互いの役割を果たし、保守運用を安定軌道に乗せることが肝心です。

システム保守費用で高いと感じたら

システム保守の費用が高いと感じた場合、適切な対処が重要です。高額な理由を明確にし、費用対効果を冷静に検討する必要があります。

まずは疑問点を明確にし、保守業者に具体的な説明を求めましょう。

次に、複数業者の費用見積もりを比較することで、適正水準を確認できます。さらに契約内容を入念に確認し、過剰なサービスが含まれていないかを点検しましょう。

それでも納得がいかない場合は、解約や契約変更の検討も視野に入れる必要があります。

疑問を明確にする

システム保守費用が高額に感じた場合、まずは自身の疑問点を明確にすることが肝心です。漠然とした不安感だけでは解決につながりません。費用の高さに対する具体的な疑問を整理することが第一歩となります。

まず、保守費用の高額感がどこから来ているのかを確認しましょう。

人件費分が高額なのか、機器費用なのか、付加サービス料金なのかを特定します。金額の絶対値だけでなく、その内訳にも目を向ける必要があります。

次に、なぜその費用が高額なのかを考えます。保守対象のシステムの規模が大きいからなのか、特殊なスキルが必要なためなのか、高いサポートレベルが要求されているからなのか、その理由を探ります。

また、従来の保守費用と比べて高額になった場合は、その変化の理由も重要です。新機能の追加があったのか、稼働時間が延長されたのか、サポート品質が強化されたのかなど、コストアップの要因を洗い出しましょう。

さらに、自社の要件と実際のサービス内容にミスマッチがないかをチェックします。過剰なサポートになっていないか、不要な機能が含まれていないかなど、抜本的な見直しも必要かもしれません。

こうして疑問の種をひとつひとつ明確にしていき、保守業者に具体的な説明を求める土台を作ります。的確な疑問点の提示なくしては、費用の適正性は判断できません。

業者に問い合わせる

疑問点を明確にした次の段階は、保守業者に対して具体的に問い合わせを行うことです。書面や対面で、費用の妥当性について丁寧に説明を求める必要があります。

まずは、保守費用の高額感を感じた経緯や理由について、業者に詳しく説明します。単に「高い」と指摘するのではなく、疑問に思った具体的な点を列挙し、説明を求めましょう。

例えば「○○の機能は必要ないが料金に含まれている」「従来より人件費が高くなっている理由が不明」など、個別の疑問点に対する回答を促します。簡潔かつ論理的に説明を求め、業者の見解を引き出します。

一方で、高額な費用設定について業者なりの理由や根拠があれば、それも聞き入れる必要があります。

ハイスキルのエンジニア確保が難しいため人件費が高くなった、求められるサービスレベルが高いためコストがかさむ、など、費用に見合った合理的な説明もあるでしょう。

このやり取りを通じて、業者側の認識、費用設定の背景や根拠を把握します。単に安いか高いかを判断するのではなく、適正な費用水準かどうかを冷静に判断することが肝心です。

必要に応じて、費用の詳細な内訳資料の開示を求め、さらに丁寧に確認作業を行います。説明不足がある場合は、追加の説明を求め続けることが重要です。

業者との密なコミュニケーションを通じ、適正費用かどうかの最終判断につなげていきましょう。

複数の業者と比較する

保守業者からの説明であっても、なお費用の適正性に納得がいかない場合は、他の業者の見積もりと比較することで、より客観的な判断ができます。

まずは、保守対象のシステムの仕様や要件を整理します。サーバ構成、ユーザ数、データ量、稼働時間、サポートレベルなど、保守の条件となる項目を明確にしておきましょう。

次に、業界での実績や技術力のある複数の保守業者を選び、同条件で見積もりを依頼します。比較対象となる業者数は3社程度が適切でしょう。

見積依頼時には、保守の範囲や品質基準、報告体制などの条件を明示し、同等の提案を求めます。曖昧な部分があれば、業者間での認識のズレが生じかねません。

業者から見積書が提出されたら、それぞれの提案内容と金額を比較します。単に金額だけでなく、提案内容の違いにも目を向ける必要があります。

サービス範囲の違い、品質の差、人員体制の差など、提案間での相違点を洗い出し、それが金額の差につながっているのかを検証します。基本的には同等の提案内容であれば、金額も同程度になるはずです。

こうした比較作業を通じ、妥当な保守費用の水準を把握できます。適正価格からかけ離れた高額な見積もりであれば、再交渉の要否を検討することになるでしょう。

複数業者の比較は、費用の適正性を判断する上で有効な手段となります。

契約内容を確認する

業者への問い合わせや他社比較を経ても、なお保守費用の高止まり感が拭えない場合、次は既存の契約内容を改めて確認する必要があります。

契約に沿ったサービスが提供されているかを入念にチェックし、過剰なサービスが含まれていないかを点検します。

まずは契約書の総則や基本条項から読み直します。保守対象システム、サービス提供範囲、稼働時間、対応時間帯、作業場所など、基本的な内容に誤りがないかを確かめて行きます。

次に個別の保守作業項目を確認していきます。

障害対応、定期保守、改修作業、セキュリティ対策、移行作業など、契約で定められた作業内容に漏れはないでしょうか。不要な作業が含まれていれば、契約外のサービスとなり得ます。

さらに、報告体制や品質保証に関する条項もチェックが必要です。過剰な報告義務や、過剰な作業水準が定められていないかを確認します。

報告作業の手間や、高スキルのエンジニア投入が要求されれば、その分費用がかさむ可能性があります。

また、作業時間外の稼働や、休日対応など、特殊勤務条件があれば、その範囲を見極める必要があります。深夜や休日の保守作業が多ければ、人件費が高額になるのは必至です。

このように契約内容を一つひとつ丁寧に確認し、発注者の本来の要件との齟齬がないかを見つめ直します。契約を超えたサービス提供がある場合、その部分について契約変更などの対応が必要となるでしょう。

必要に応じて解約や変更を検討する

費用の高止まり感を解消する方法を講じても改善が見られない場合、最終的には契約の解約や変更を検討せざるを得ません。費用対効果を冷静に判断し、継続が適切でないと判断すれば、早めの対応が肝要です。
まずは契約解除を視野に入れることになります。契約書に記載された解除条件を確認し、要件を満たしているかを吟味します。一定の解除理由と、違約金の発生有無を確認する必要があります。
解約に伴うシステム移行の影響や、新たな保守業者の確保なども検討課題となります。解約によって業務に多大な支障が出る可能性があれば、慎重に対応を検討しなければなりません。

解約ではなく、契約の一部変更を求める選択肢もあります。

例えば、過剰なサポート範囲を縮小したり、報告体制を簡素化したり、サービスレベルを下げたりすることで、コストダウンを図ることができます。

ただし、契約変更には業者の合意が不可欠です。変更による影響を考慮した上で、業者と真摯に協議する必要があります。業者の実施体制の見直しが必要になるため、変更内容によっては新たな費用計上も発生し得ます。

変更交渉が難航した場合、最終的には業者変更を検討せざるを得ません。新規業者の選定から発注プロセスに移行し、システム移行作業を実施する必要があります。

このように、費用対効果の観点から、適切な対応方針を立てることが重要です。

短期的な判断ではなく、中長期的な視野に立った費用対効果の見極めが求められます。状況に応じて、契約解除や変更を判断する必要があります。

まとめ:システム保守費用は適正価格で委託すべき

適正な水準を外れた保守費用には、様々なデメリットがあります。安すぎる価格設定、高すぎる価格設定のどちらの場合も、システム保守の質の低下や事業継続へのリスクにつながる可能性があります。
まず安すぎる保守費用の弊害としては、サービス品質の劣化が危惧されます。

人件費の圧縮が過剰になれば、ベテラン人材の確保が困難になり、保守作業の質が低下するおそれがあります。また、入念な保守作業を怠れば、障害発生のリスクも高まります。

一方、高すぎる保守費用も看過できません。過剰なサービスコストは、企業の経営を圧迫する最大の要因となり得ます。保守単価の高止まりにより、ITコストが膨らみ、他の重要投資に回す予算が削られてしまう可能性があります。

適正な保守費用は、確かにコストとして捉えられますが、それは事業継続や事業拡大のための必須の投資ともいえます。品質が維持され、安定したシステム稼働が担保されれば、円滑な業務運営が可能になります。

したがって保守費用は、長期的な事業への影響を考慮し、適正水準を見極める必要があります。

安価にこだわり過ぎれば品質が劣化し、過剰に高額であれば経営を圧迫します。バランスのとれた費用設定こそが、適切な保守体制の構築につながるのです。

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20年以上のシステム開発経験から、要件定義からプログラム開発、導入や顧客研修まで全工程に関して深い知識を持っています。新しい技術を追い求めることが好き。

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