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Webサービスの提供方法が変化を迎えています。スマートフォンや5G通信の普及により、場所や時間を問わず情報にアクセスできるようになりました。それによって、消費者へのアプローチもアプリケーションなどの伴走型へシフトしています。そのため、Webサービスの提供を行う上でクラウドの利用は不可欠です。

総務省が公表している「令和3年版 情報通信白書」※1によると、クラウドを利用している企業の割合は68.7%に上り、年々増加傾向にあります。これを受けて、クラウド環境で利用することを前提としたクラウドネイティブなアプリケーション開発が求められるようになりました。

本記事では、クラウドネイティブについて活用事例やメリットまでを詳しく解説します。最後まで読むことで今消費者に求められるWebサービスを提供する方法を知ることができます。

クラウドネイティブとは?

クラウドネイティブとは、クラウド環境下において最適化されたシステムを提供することによって、ビジネス上の課題を解決することです。CNCF(クラウドネイティブコンピューティングファウンデーション)が定義したもので、クラウドサービスを利用することによって得られるメリットを最大限活用したシステムを開発する考え方です。そのため、クラウドリフトのような自社サーバーなどを利用したオンプレミスの状態にあるシステムを、クラウド上に移し替えるだけでは、クラウドネイティブとはいえません。

クラウドネイティブが必要とされる背景

従来のシステム開発においては、これまで手作業で行われてきたものをシステム化し生産性を高めるものが求められていましたが、近年では買い切り型のサービスから、継続的にサービス提供を行う伴走型に移行しつつあります。さらに、クライアントのニーズが多様化し、その移り変わりも速いため、迅速にニーズに対応したシステム開発が求められています。

このような状況の変化を受け、機動性の高い開発インフラを提供するためにクラウドネイティブが注目されています。それと同時にクラウドネイティブと親和性の高い開発手法として挙げられているのが、アジャイル開発やDevOpsです。

クライアントのニーズに合わせた柔軟かつ迅速に開発工程を分割して進めるアジャイル開発や、開発サイドと運用サイドの対立構造を改善し無駄がなく素早い開発を行うDevOpsは、クラウドネイティブにおけるシステム開発では一般的です。

従来のクラウドファーストとの違い

クラウドサービスが登場して間もない頃に生まれた、オンプレミスよりもクラウド環境を利用したアプリケーション開発を第一とするという考え方がクラウドファーストです。クラウド環境を利用することで物理的なサーバーを利用するオンプレミスよりもコストが抑えられるため、クラウドファーストの考え方は普及していきました。行政のシステム開発においても、2018年にこのクラウドファーストを基にした「クラウド・バイ・デフォルト原則」が提唱されています。※2

その後、クラウド環境を利用したサービスが一般的となり、クラウド環境下でアプリケーションを搭載する際に最適化を図ることが追求される中で登場したのが、クラウドネイティブという考え方です。クラウドファーストやクラウド・バイ・デフォルトの延長線上にクラウドネイティブがあります。

クラウドネイティブを取り入れるメリット

クライアントの要望に柔軟かつ迅速に対応することができる

クラウドネイティブでは、アプリケーションを適切に分割し、小さい単位のマイクロサービスとして開発し、コンテナ化を行います。 これによって、システム改修やアップデートを細やかに行うことが可能です。また、システム改修を行う際にもサービス全体を停止することなく実施することが可能です。

近年ではWebやスマホのアプリケーションの活用が増えており、利用者が増えるほど頻繁な更新が求められます。クラウドネイティブでは、分割されたアプリケーションから、必要な部分だけを改修することができるため、クライアントの要望に柔軟かつ迅速に対応することができます。

スケーラビリティを最大限活用できる

クラウド環境下では使用規模に合わせたスケールアップ・ダウンを容易に行うことができます。そのため、開発したアプリケーションの利用人数の増減などといった事態にも柔軟に対応することが可能です。また、突然アプリケーションやサービスを終了することとなった場合であっても、クラウドの契約を終了するだけで対応を完了させることができます。

自社インフラを必要とせずコスト削減効果が期待できる

クラウドネイティブであれば、自社サーバーを準備する必要がないため、初期費用のコストカットが可能です。ハードウェアの保守切れやサーバーへの負荷を考慮する必要もありません。また、ランニングコストにおいてもクラウドサービスは従量課金制を採用していることが多く、システムを立ち上げたばかりの頃は利用量も少ないため、費用を抑えることができます。サービスを終了することとなった場合であっても、使用しなくなったサーバーを余剰資産として抱えておく必要もありません。

クラウドネイティブの活用事例

実際にクラウドネイティブを活用することでどのような業務改善がなされたのか、実際の活用事例を2つ紹介します。

事例① KYB株式会社

四輪車や二輪車のショックアブソーバーなどの製品を提供するKYB株式会社では2018年にクラウドネイティブの予知保全システムを稼働させ、オンプレミス環境と比べて97%のコストカットに成功しています。

工場などの設備機器の予知保全担当者のメンテナンス作業負担軽減を目的として、設備機器に取り付けたセンサーからデータを収集・分析し、分析データを現場の予知保全担当者に通知する仕組みを構築するにあたってクラウドの導入を行いました。工場側の端末で一次判定をする短期の故障判定と、クラウド側で最終判定を行う長期の故障判定を組み合わせた仕組みを構築し、この仕組みをクラウドのスケーラビリティを活かして他の工程にも応用しています。

また、クラウド上でのシステム開発のため耐障害性も担保することができました。

事例② 株式会社Quick

株式会社Quickは、1971年の創業以来、日本経済新聞社グループの金融情報サービス会社として、証券・金融市場で活用されるマーケット情報を発信しています。

同社は2018年にオンプレミス環境で構築してきた株価配信サービスをクラウドネイティブなシステムに移行。これによってサーバーコストを60%、ハードウェアおよびソフトウェアの保守コストを70%削減することに成功しました。

機密性、可用性が重要視される金融情報の特性上、同社では長らくオンプレミス環境でシステム運用を行っていました。しかし、既存のサーバーの保守契約期間が終了を迎え、リプレースに多額のコストがかかることからクラウドへの移行を開始。サーバー約1,500台分をクラウド環境へ移行し、運用コストを大きく抑えることに成功しました。

また、従来はシステム運用と開発部門を分けていたのが、運用負荷が低減したことによってシステム運用を開発部門に集約することができるようになりました。開発と運用の一体化により、DevOpsが実現され、自由度の高いシステムマネジメントが可能となっています。

JITERAで実現するクラウドネイティブ

クラウドネイティブは既に多くの企業で導入され、ニーズに柔軟かつ迅速に対応することができ、コストを抑えることも可能であるため、クライアントが高い満足度を得ることができます。その反面、クラウドネイティブなシステム開発を行うには、クライアントのニーズや状況の変化に素早く対応する必要があります。一般的なシステム開発の速度ではスピード不足で、時機を逸してしまうことも少なくありません。

Jiteraでは、複雑なロジックが必要ないコードを自動化して書く独自の開発プラットフォームを開発。これによって、1年半かかると想定されていたシステム開発を8か月で完成させた事例※3もあります。「ソフトウェア開発の次の時代を創る」をミッションに掲げるJITERAで、消費者に求められる新しいクラウドネイティブなWebサービス開発を行ってみませんか。

<参考>
※1 総務省 「令和3年版情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242140.html

※2 各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定「政府情報システムにおけるクラウドサービスの活用に係る基本方針」
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/cloud_policy_20210330.pdf

※3 JITERA Works
東急リゾーツ&ステイ株式会社
https://jitera.com/ja/works/1
AWS活用事例 KYB株式会社
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/kyb-ctc/?did=cr_card&trk=cr_card
AWS活用事例 株式会社Quick
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/quick/?did=cr_card&trk=cr_card