オフショア開発とは、海外の開発会社に開発業務を委託することで、日本では1980年代から取り入れられてきました。当初、オフショア開発の導入目的は開発コストの削減でした。人件費の安い海外の開発会社を利用することで、国内開発と比較して開発コストを大幅に削減できるためです。しかし近年は、IT人材確保の面でオフショア開発を検討するケースが増えています。
国内は深刻なIT人材不足により開発者の賃金が増加しており、従来と同じ開発費用をかけても国内だけで技術力の高いIT人材のリソースを確保するのは難しくなっています。そのため、IT人材のリソースの調達や高い技術力を求めてオフショア開発を検討するケースが増えています。
オフショア開発の委託先の国は、中国やインドをはじめ、ベトナムやミャンマーなどが人気です。オフショア開発が盛んな国では、IT人材は他の職業と比較して高給であり人気です。ベトナムなど、国策としてIT人材の育成に力を入れている国もあります。優秀なIT人材が多数輩出されるため、国内での開発コストと大きな差がなくとも、オフショア開発で海外エンジニアを取り入れることで企業の開発力を維持しようとする動きが高まっています。
オフショア開発でIT人材のリソースを確保する際に、主に注意が必要なのが次の2点です。
オフショア開発は政治の影響を受けやすい開発方法です。オフショア開発国として人気なのは賃金の安い国であり、中には国内でクーデターやデモが発生するなど不安定な地域もあります。また、国家情勢が安定していても、日本との外交関係が悪化すれば開発の委託は難しくなります。政治的な問題であるため検討が難しいのですが、中長期的に見て安定的な体制を確保できるかを判断する必要があります。
オフショア開発では、コミュニケーションが開発の大きな壁となります。市場の変化が激しい現代において、密で正確なコミュニケーションは開発を進める上で欠かせません。しかし、言語や文化の違い、品質に対する認識、時差などからコミュニケーションに齟齬が生じ、開発が失敗してしまうケースが少なくありません。
オフショア開発でのコミュニケーションのとり方は運営元の企業形態によって異なります。オフショア開発の運営元は、現地法人・日系企業・外資系企業の主に3つに分けられます。それぞれの特徴を説明します。
開発担当のエンジニアも日本との窓口も基本的には現地の人で、単価の安さが特長です。日本語でのコミュニケーションに対応していない会社の場合には、特に単価を安く抑えられます。
日本との窓口を日本人が担当し、日本での開発と同様に進められるようになっています。コミュニケーション面での不安はありませんが、現地人の運営会社よりも高めの価格設定であることが多いです。
欧米企業が運営しており、コミュニケーションは英語です。技術力の高さをアピールし、高単価であることが多いです。グローバル展開を前提としたプロダクト開発に適しています。
日本語でのコミュニケーションや高い技術力を求める場合には、運営元として日系企業や外資系企業がおすすめです。ただしこの場合、オフショア開発でのコスト削減効果は少なくなる点に注意が必要です。
以上から、オフショア開発でIT人材のリソースを確保する際には、政治的側面やコミュニケーション面でのリスクを考えて委託先を検討する必要があります。オフショア開発でのリスクを考えた際におすすめなのが、日本企業によるグローバル開発です。
グローバル開発とは、開発者が複数の国籍の開発者で構成されたチームで進める開発のことです。テレワークが主流になったことで、グローバル開発は日本でも広がりを見せています。海外の開発者が開発するのであれば、オフショア開発と同じなのでは?と疑問に思われたかもしれません。
オフショア開発とグローバル開発の違いは、開発者を集める範囲です。オフショア開発は一つの国で開発を進めるため、委託時には国の特徴を踏まえて委託先の国を選択する必要があります。一方、グローバル開発は国を限定せず世界各国からIT人材を集めます。そのため、特定の国の言語や文化に依存することなく、高い技術力を持つメンバーを集めてチームを構成できます。
グローバル開発のデメリットとしては、オフショア開発と同様にコミュニケーションの問題が挙げられます。しかし、グローバル開発の場合には一つの国に限定していないことから、メンバーはダイバーシティを理解した上で丁寧なコミュニケーションをとる文化があります。
また、国内の開発会社が実施しているグローバル開発であれば、依頼時は日本語でのコミュニケーションが可能であり、日本での開発現場を熟知しています。そのため、スムーズなやり取りや品質の確保が可能です。高い技術力を持つIT人材のリソース確保を目的としている場合には、グローバル開発を検討してみてはいかがでしょうか。ここでは、グローバル開発をしている日本企業の株式会社Jitera(以下、Jitera社)をご紹介します。
Jitera社は2017年設立のソフトウェア開発を行っている日本企業です。高スピードで高品質なグローバル開発を得意としており、東証プライム企業から中小企業まで幅広く開発実績があります。Jitera社は日本企業でありながら海外エンジニアが多数在籍しています。その海外人材比率の高さから、社内公用語は英語です。Jitera社の開発者には高度な技術力が求められ、採用通過率はわずか0.1%程であることからも技術力の審査が厳しいことがうかがえます。技術力がトップレベルの開発者を世界各国から集めることでプロフェッショナルチームを構成し、グローバル開発に取り組んでいます。
開発体制はグローバルなものですが打ち合わせは日本語で実施されるため、コミュニケーションの取りやすさは国内開発と同じです。コミュニケーションに壁を感じることなく、高品質なグローバル開発が可能です。
Jitera社での開発の魅力は、開発スピード・コスト・品質・コミュニケーション面を総合的に見たときの “コストパフォーマンスの高さ” です。その秘密は、開発自動化プラットフォーム「JITERA」とスクラッチ開発を組み合わせたハイブリット型のアジャイル開発にあります。
開発自動化プラットフォーム「JITERA」とは、ソフトウェアをリリースするために必要なフロントエンドからバックエンド、インフラ、API連携まで幅広く自動化できる、Jitera社が開発したツールです。JITERAを使うことで、複雑なロジックが必要ないコードは自動で生成できます。実証実験では、平均で60〜70%の開発の自動化に成功しています。また、JITERAはスクラッチ開発に切り替えることができるため、複雑なロジックや追加機能の開発にも対応できます。
Jitera社の開発には、次のような特長があります。
JITERAを使った開発の自動化により、フルスクラッチ開発と比較して劇的に早いスピードでの開発が可能になります。開発スピードの速さは、ユーザーへの価値提供を早めるだけでなく、コスト削減にも繋がります。 【参考リンク:システム開発で押さえるべきポイントとコスト削減のために知っておきたい費用の相場】
Jitera社では、世界各国から高い技術力を持った開発者を集めたグローバル開発の体制を取っています。開発の進め方はアジャイル型であるため、日々変化するビジネス環境の中でも、常に優先度の高いタスクから開発を進められます。 また、開発の一部はJITERAにより自動化されるため、開発者たちは複雑なロジックの検討や追加機能の開発に集中できます。これにより、高品質な開発を可能にしています。
Jitera社ではアジャイル開発を導入していますが、しっかりとドキュメンテーションも行います。正確に認識合わせをしてから開発に取り組む流れとなっており、開発前に仕様書などのドキュメントを納品します。また、ドキュメントだけではなくデザインデータを製作し、実際の画面を見ながら開発を進めていきます。お互いの認識や完成イメージを共有した上で進めるため、コミュニケーション不足による齟齬なく開発を進められます。
コスト削減を目的として始まったオフショア開発ですが、現在ではIT人材のリソース確保に目的が変わってきています。IT人材のリソース確保を目的とした場合には、オフショア開発よりも国内の開発会社でのグローバル開発がおすすめです。IT人材の確保だけでなく、市場がグローバル化している現代において、グローバル開発は今後増えていくでしょう。
また、この記事ではグローバル開発を先駆けて取り入れている国内の開発会社としてJitera社を紹介しました。Jitera社のホームページには開発事例も掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。